VIX系ETP(VXX, SVXY, ZIV)とVIXの連動性をみてみたよ

私はVIX系ETF/ETN(まとめてETP)が好きです.ボラティリティを売ったり買ったりできるって意味がわからなくて好きです.

VIX系ETPにはいろいろありますが,VIXそのものではありません.そのためVIXとはちょっと違う動きをします.

ということで,今回はVIX系ETPとしてVXX,SVXY,ZIVとVIXとの連動性を確認するとともに,今後のためにVIX系ETPがなかった時代の値動きを大雑把に確認できる程度のモデル化をしたいと思います.

VIX系ETP

今回の対象とするのは以下の3つのETNとETFです.

  • VXX: iPath S&P 500 VIX ST Futures ETN
  • SVXY: ProShares Short VIX Short-Term Futures
  • ZIV: VelocityShares Daily Inverse VIX MT ETN

VXX は短期VIX先物指数に連動するETNです.期近VIX先物と第2限月VIX先物から組成されます.それらを毎日ローリングしており,いうなれば「安いものを売って高いものを買う」というコンタンゴが発生するため,VXX はどんどん減価していく運命です.これがVIX系ETPが長期投資には向かないという理由ですね.

SVXY は短期VIX先物指数のインバースに連動するETFです.VXXの逆の動きをするということですね.インバースなのでコンタンゴは逆に価格の上昇に寄与します.したがって,VIXのインバースのETPはなにもなければ価格が上昇していく運命にあります.

ZIV は中期VIX先物指数のインバースに連動するETNです.中期VIX先物指数は第4限月から第7限月の先物から構成されるため,短期VIX先物指数に比べるとゆったりとした値動きになります.

VIXの話は以下のサイトが参考になります.
外部サイト room5110

リターン

まずは,2012年から2017年までのVIXの動きを確認します.

VIXは多くの期間で30以下になっていることが多いです.検証期間の間では2015年8月のチャイナショックのときに,VIXが40を超えていますね.直近では,VIXは10以下と低水準になっています.

次に,2012年1月から2017年12月までの累積リターンをみてみましょう.

比較としてSPYの累積リターンも載せています.SVXYやZIVに比べるとSPYのリターンなんてかわいいもんですね.ただし,注意しないといけないのは,SVXYやZIVはちょっと市場がびっくりすると簡単に40%から60%程度のドローダウンに遭遇しちゃいます.さらに,ZIVには早期償還条項があって,1日のザラ場中に前日比の80%下落するとその日の終値で償還されます.

話はそれますが,SVXYのロングをするなら現物ETFを買うよりSVXYのコールを買う方が損失限定した上で大きなリターンを狙えると思います.ただ,IB証券のような海外口座を開くことと,オプション取引の利益が雑所得になることに注意が必要ですけど.

$\beta$(ベータ)

さて,VIX系ETPのVIXに対する感応度をみてみましょう.要は,VIXのリターンを説明変数として線形回帰を求めます.

つまり,次のような式でVIX系ETPの価格が決定されるとみなします.
\[
\alpha + \beta\cdot(VIXリターン)
\]

なお,$\alpha$はコンタンゴとか経費率を表し,$\beta$はVIXの動きに対する感応度を表します.VIXが1%変動すると$\beta$%変動することを意味します.これって,資本資産評価モデルの$\alpha$と$\beta$の関係と同じようにみえます1. なので,同じような感覚で$\alpha$と$\beta$と呼びます.

条件と方法

VIX系ETPとVIXの線形回帰を,125日間(半年)のデータでローリングして求めます.期間は2012年から2017年です.

Rを使ってサクッと求めましょう.以下がそのコードです.

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結果

VIXに対する各VIX系ETPの感応度$\beta$は次のグラフのようになりました.

VXX の$\beta$は0.4から0.6の範囲,SVXYの$\beta$は-0.4から0.6の範囲,ZIVの$\beta$は-0.1から-0.25の範囲であることがわかります.いずれにしても,結構$\beta$の値が大きく変動することをに留意が必要ですね.ざっとみたところ,VIXがはねたときに$\beta$の絶対値も大きくなるようなことはなさそうにみえます.

VIX系ETPをおおざっぱにモデル化

以上の結果から,VIXは存在していたけどVIX系ETPがなかった時代の値動きを大雑把に模倣できるモデルを作ってみます.

$\beta$の変動をみるとわかるように,時期によって大きく$\beta$の値が変わります.そこで,安全側に倒して,$\beta$の絶対値が最大のものを$\beta$として採用します.

そのもとで,検証期間終了時点の累積リターンがだいたい同じになるように$\alpha$を求めます.

以上の結果をまとめたのが次の表になります.

$\alpha$$\beta$
VXX-0.00470.614
SVXY0.0045-0.627
ZIV0.0021-0.276

おおざっぱにモデル化したVXX,SVXY,ZIVの値動きを確認します.

VXX

まずは VXX ですね.


累積リターンの変化をみると,ところどころ合っていませんね(赤線が大雑把モデルです).まぁ特徴は表せていると思います.

日次リターンをみると,実際のVXXに対して大雑把モデルのVXXではより多くのスパイクがたっていることがわかります.また1つ1つのスパイクも大きめにでています.これは,実際よりリスクが高いモデル化になっていることの確認になります.

SVXY

次は SVXY です.


傾向としてはVXXと同じですね.

ZIV

最後に ZIV です.


ZIVも傾向としてはVXXやSVXYと同じですが,累積リターンの途中の部分のずれが顕著です.これは,たぶんですが,$\beta$の絶対値が他より小さい分,$\alpha$を乱暴に固定値としているところが効いている気がします.

おわりに

今回は線形回帰によって,VIXリターンに対してVIX系ETPであるVXX,SVXY,ZIVの感応度$\beta$を求めました.

求めた$\beta$をもとに,VIX系ETPがなかった時代の検証ができるように大雑把なモデルを作りました.安全側に倒している(リスクが大きめにでるように)作ったので,ちょっとした検証には使えると思います.

ということで,今後は hass LPFをリーマンショック時に作っていた場合の影響を検証したいと思います.

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ROKOHOUSE の hiroakit さん(@hiroakit_roko)がROKOHOUSE式可変レバレッジド・ポートフォリオを提案しています.参考 ROKOHOUSE式 可変レバレッジド・ポートフォリオ | ...

  1. もちろん両者の意味は違います.