【2019年11月19日】VIX先物の建玉数を確認: 売玉は順調に増加しネットショートも拡大

米国株市場が非常に好調です.あまりに好調なので,逆に下に大きく下がることが心配になってきますね.

ということで,2019年11月19日時点のVIX先物の建玉数を確認するとともに,株価が下がった場合に行き過ぎるリスクがどれくらいありそうかを考えてみます.

最新のVIX先物建玉の記事はこちら.

【2020年3月17日】VIX先物の建玉確認: 投機筋の売玉は減ったもののまだまだショート!?

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Commitments of Traders (COT) レポート

Commitments of Traders (COT) レポートは,米商品先物取引委員会(CFTC)によって,各上場商品の建玉明細を公表するように義務付けられている,市場参加者別の建玉報告書です.なお,CFTCは米国内の株価指数先物や通貨先物などの取引を監視する権限を持つ政府機関です.

COTレポートにはいくつか種類があり,Legacyレポートは Commercial と Non-commercial の2つに部類され,Traders in Financial Futures (TFF)レポートは金融商品である通貨や,債券,株式,VIXなどを4つに分類されます.COTレポートは現地時間の毎週火曜日での建玉数をその週の金曜の午後に発表されます.

Legacy レポートの分類は次のように考えられます.

  • Commercial: 実需の投資家,現物業者など
  • Noncommercial: 大口投機家,ファンド
  • Nonreportable: 非報告建玉(小口の投機家)

出典 Commitments of Traders
出典 Explanatory Notes

また,TFF レポートの分類は次のように解釈できます.

  • Dealer: 市場の仲介・売り方 (sell side).大手銀行や証券ディーラーなど.
  • Asset Manager: 機関投資家.年金ファンド,投資信託,保険会社など.
  • Leveraged Funds: ヘッジファンド.大口の投機家.
  • Other Reportable: 上記以外の報告義務のあるトレーダー.企業の中央銀行,小規模な銀行など.
  • Non Reportable: 非報告建玉.小口の投機家

参考(PDF) TRADERS IN FINANCIAL FUTURES Explanatory Notes

なお,Dealer は仲介なので,その他のカテゴリの参加者の逆のポジションを主に持つことになります.

VIX先物建玉数(2019/11/19)

まずは,VIX先物建玉数の推移を確認.なお,以降のグラフは2018年のVIXショック以降の推移です.

11月19日時点の建玉数(オープンポジション)は2018年10月末のピークを超えてきています.このまま株価が順調に推移していけば,VIXショック直前の建玉数に年末まで戻ってきそうです.

次にLegacyレポートを見てみます.上のグラフが実際の建玉数で下のグラフがネットの建玉数です.

大口投機家(Noncommercial)の売玉数は,VIXショック直前の水準まで大きく膨れ上がってきています(上図).その結果,大口投機家のポジションのネットショートは順調に増えてきています(下図).ネットショートだけを見ると,VIXショック直前の倍以上になっていますね.

最後にTFFレポートでVIX建玉数を見てみます.

ヘッジファンド(Leveraged Funds)のVIX先物のロング/ショートは両方増えているものの,ショートの方が多く伸びたため,結果としてネットショートが大きくなっています.一方で,機関投資家(Asset Manager)のVIX先物のロング/ショートはロングは高止まりでショートが増加しています(上図 赤).その結果,ネットでみると,機関投資家のポジションもわずかにショートに傾いてきています.これは,VIXショック直前でもそのような状態になってきているため,かなり株価に対して楽観的な状況になっているように思います.

以上の結果,仲介(Dealer)のロングポジションが大きく増加しました.

短期のヘッジファンドは順調にVIXショートが増えてますし,機関投資家もネットショートになっています.ポジションを見る限り,イケイケドンドンなポジションになっていると思います.何か大きな株価の下落要因が発覚すると,その下落を加速させるような状況がちゃくちゃくとできているように思います.株価の上昇にかけるポジションのリスクのとりすぎには要注意だと思います.

おわりに

今回は2019年11月19日時点のVIX先物の建玉数を確認しました.VIX建玉数を確認した結果から,前回確認したときと比べ,短期も長期もさらに株価に強気になっていると思います.

その結果を踏まえ,株価の暴落までの株価上昇分をこれから取りに行くか,それともポジション量を抑えながら暴落を待つのか,いろいろ選択肢はあるかと思います.

私の場合は,VIXロングのポジションを作っているわけですが絶賛血だらけです(´ー`) 適度なガス抜きがない状況では,破裂しない風船はないと思うので現状はこの方針は変わりません.

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