【2020年3月17日】VIX先物の建玉確認: 投機筋の売玉は減ったもののまだまだショート!?

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行に端を発した世界同時株安ですが,VIXが50を超えるような状態が2週間近く続いています.それにともない,特に米国市場ですが,毎日サーキットブレーカーが発動して一時取引停止となるような状態が続いています.私の当初の予想では,どーんと一瞬VIXが高まって落ち着くだろうと思っていましたが,完全にはずしました.結果,絶賛血祭り状態になっています(ヽ´ω`)

ということで,2020年3月17日時点のVIX先物建玉数を確認することを通して,今後の波乱相場の下値リスクを考えてみたいと思います.たぶんはずすけど(´・ω・`)

最新のVIX先物建玉の記事はこちら.

【2020年3月17日】VIX先物の建玉確認: 投機筋の売玉は減ったもののまだまだショート!?

スポンサーリンク

Commitments of Traders (COT) レポート

Commitments of Traders (COT) レポートは,米商品先物取引委員会(CFTC)によって,各上場商品の建玉明細を公表するように義務付けられている,市場参加者別の建玉報告書です.なお,CFTCは米国内の株価指数先物や通貨先物などの取引を監視する権限を持つ政府機関です.

COTレポートにはいくつか種類があり,Legacyレポートは Commercial と Non-commercial の2つに部類され,Traders in Financial Futures (TFF)レポートは金融商品である通貨や,債券,株式,VIXなどを4つに分類されます.COTレポートは現地時間の毎週火曜日での建玉数をその週の金曜の午後に発表されます.

Legacy レポートの分類は次のように考えられます.

  • Commercial: 実需の投資家,現物業者など
  • Noncommercial: 大口投機家,ファンド
  • Nonreportable: 非報告建玉(小口の投機家)

出典 Commitments of Traders
出典 Explanatory Notes

また,TFF レポートの分類は次のように解釈できます.

  • Dealer: 市場の仲介・売り方 (sell side).大手銀行や証券ディーラーなど.
  • Asset Manager: 機関投資家.年金ファンド,投資信託,保険会社など.
  • Leveraged Funds: ヘッジファンド.大口の投機家.
  • Other Reportable: 上記以外の報告義務のあるトレーダー.企業の中央銀行,小規模な銀行など.
  • Non Reportable: 非報告建玉.小口の投機家

参考(PDF) TRADERS IN FINANCIAL FUTURES Explanatory Notes

なお,Dealer は仲介なので,その他のカテゴリの参加者の逆のポジションを主に持つことになります.

VIX先物建玉数(2020/3/17)

まずは,VIX先物建玉数の推移を確認.なお,以降のグラフは2018年のVIXショック以降の推移です.

2月頭から建玉数(オープンポジション)の変化は他の期間に比べて特に特徴があるわけではありませんが,米国株急落が始まった2月後半に一旦増えた建玉数は減ってきました.

次にLegacyレポートを見てみます.上のグラフが実際の建玉数で下のグラフがネットの建玉数です.

2月後半を起点に上図をみると,大口投機家(Noncommercial)の売玉数の減少と実需の投資家(Commercial)の買玉数の増加の幅に比べて,それぞれの買玉数の増加と売玉数の減少の幅が大きくなっています.つまり,大口投機家は急落に対してVIX先物の売玉を解消するというよりは,新たに買玉を作ることで対処してきたということがわかります.これは,VIXショックのときとは異なる動きです.

その結果,直近では大口投機家のVIX先物の売玉数は少し増えてはいるものの,全体としては減少傾向にあります(下図).これまでの株価下落局面(次の図を参照)では,大口投機家のVIX先物のポジションがロングに傾いてしばらくしてから,株価が上昇に転じていることからまだまだ反転するのには時間がかかりそうです.

最後にTFFレポートでVIX建玉数を見てみます.

ヘッジファンド(Leveraged Funds)のVIX先物の売玉は2月末頃にいったん増加し,その後売玉が減って買玉が増えています(上図)1これは私と同じで,COVID-19の影響は小さく大事にはならないとの予想で,早々にVIXショートを仕掛けた結果だと思います.そうだとすると,私と同じ血まみれですね(ヽ´ω`).その結果,ヘッジファンドのネットのVIX先物のショートポジションは大きく減りました(下図).ただ,まだまだネットのショートポジションは過去の株価下落局面に比べ高水準です.一方で,機関投資家(Asset Manager)のVIX先物の建玉はほとんど決済されて,買玉のみになっています(上図).機関投資家はさらなる下落に対して完全に準備ができたと言えます.

以上をうけて,2月末頃に比べ,仲介(Dealer)のVIX先物の買玉数と売玉数はともに増加しているものの(上図),ネットとしてはVIX先物ショートに傾いています(下図).

ということで,Dealer基準でみると市場全体としてはVIX先物はロングに傾いていますが,ヘッジファンドのVIX先物のショートが残っています.このヘッジファンドのショートの買値如何によっては,さらなる急落もありうると思います.

おわりに

今回は2020年3月17日時点のVIX先物建玉数を確認しました.過去の株価下落からの上昇局面に比べ,大口投機家のポジションがまだまだショートに傾いています.彼らのポジションがロングに傾いてしばらく経たないと株価の上昇に転じないことが多いため,波乱相場がしばらく続くと見ています.ここ1週間は株価のボラティリティは高いですが,底堅い動きをしているように思います.これが,もう一段下に大きく抜けてから,戻るようなイメージです.

とはいえ,仮にそのような推移をした場合,私のVIXショートのポジションは助かりませんが(ヽ´ω`)

コメント