【2019年7月16日】VIX先物の建玉数を確認

S&P500やダウ平均株価は最高値を更新し,現在も高値圏で推移しており非常に堅調です.株価水準も割高ではあるものの,飛び抜けて割高ではありません.また,株価推移も特に急騰しているわけでもなく,じわじわと上昇していることから何もなければしばらくは堅調に推移しそうです.株価さがるかなーっと思っている私のような人間の買い戻しによって.

しかし,何か起きるとどーんと急落するわけで,そのインパクトをVIX先物の建玉数の推移から類推したいと思います.

結論をいうと,全体の建玉数は上昇傾向にあるとともにVIX先物のショートは着実に増えていることから,株価の下げ要因が顕在化するとVIXが大きく跳ね上がるような株価急落が起こりそうです.

最新のVIX先物建玉の記事はこちら.

【2020年3月17日】VIX先物の建玉確認: 投機筋の売玉は減ったもののまだまだショート!?

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Commitments of Traders (COT) レポート

Commitments of Traders (COT) レポートは,米商品先物取引委員会(CFTC)によって,各上場商品の建玉明細を公表するように義務付けられている,市場参加者別の建玉報告書です.なお,CFTCは米国内の株価指数先物や通貨先物などの取引を監視する権限を持つ政府機関です.

Legacy レポートの分類は次のように考えられます.

  • Commercial: 実需の投資家,現物業者など
  • Noncommercial: 大口投機家,ファンド
  • Nonreportable: 非報告建玉(小口の投機家)

出典 Commitments of Traders
出典 Explanatory Notes

また,TFF レポートの分類は次のように解釈できます.

  • Dealer: 市場の仲介・売り方 (sell side).大手銀行や証券ディーラーなど.
  • Asset Manager: 機関投資家.年金ファンド,投資信託,保険会社など.
  • Leveraged Funds: ヘッジファンド.大口の投機家.
  • Other Reportable: 上記以外の報告義務のあるトレーダー.企業の中央銀行,小規模な銀行など.
  • Non Reportable: 非報告建玉.小口の投機家

参考(PDF) TRADERS IN FINANCIAL FUTURES Explanatory Notes

なお,Dealer は仲介なので,その他のカテゴリの参加者の逆のポジションを主に持つことになります.

VIX先物建玉数(2019/7/16)

まずは,VIX先物の建玉数の推移を確認します.以降のグラフは2018年のVIXショック時からの推移を示しています.

7/16現在のVIX先物の建玉数は,2019年4月からのちょっとした下げ相場の水準まで高まってきました.VIXショックが起きた2018年2月の水準と比べるとまだまだです.これは,VIXショック以降,VIX先物を使っていたETNが償還あるいはレバレッジの引き下げが行われたため,総量として減っています.

次にLegacyレポートを見てみましょう.上の図が実際の建玉数で下の図がネットの建玉数です.

7/16時点では,Commercial(実需の投資家)はVIX先物のロングが拡大している一方で,Noncommercial(大口投機家)はVIX先物のショートにどんどん傾いていることがわかります.急落のリスクは徐々に大きくなっているといえるでしょう.

さらに,TFFレポートでVIX建玉の状況を確認します.

SellサイドのDealerのVIXロングのポジションが2019年6月を底にどんどん増えていることから,市場としてはVIXショートに傾いていることが,こちらからも確認できます.

目を引くのはVIX先物がショートに傾いている要因ですね.Asset Manager (機関投資家)のポジションはロングの量は変わらない一方で,ショートの量が増えています.その結果,ネットではほぼスクウェアになっています.一方でLeveraged Funds(ヘッジファンド,大口投機家) のポジションはその逆の傾向があることがわかりますね.関係あるかどうかはわかりませんが,VIXショック直前には機関投資家のポジションがほぼスクウェアになっているのが気になります.

大口投機家のVIX先物のロング・ポジションは増えてきているので株価下落方向に備えているようにも見えますが,VIX先物のショートのポジションも着実に増えているので株は強気という見方もできます.要するに,総楽観ではないものの,一旦株価が下落方向にいくと大きく下げるリスクは高まっていると思います.

おわりに

ということで2019/7/16時点のVIX先物の建玉数を確認し,急落リスクについて推し量ってみました.

VIX先物全体を眺めると,そのポジションは着実にショートに傾いてきています.主な原因としては,機関投資家のロング・ポジションはかわらずにショート・ポジションがどんどん増えたことが挙げられます.

まぁ順調にVIX先物はショートに傾きつつあるということで,株価急落 = VIXが跳ねる状況に対する準備を着々と進めていきたいと思います.

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