【2019年4月】VIX先物の建玉数を確認してみる

なんだかんだ米国市場は好調です.VIXも13から14くらいをしばらく推移しており低水準です.そうなると気になるのは,株式市場の急落は起こりそうか,それがどれくらいインパクトがありそうかです.

それを占うために,久しぶりにVIX先物の建玉を確認してみました.2018年のVIXショックと2018年10月から12月にかけた下落相場と現在のVIX先物建玉数を比較してみました.

最新のVIX先物建玉の記事はこちら.

【2020年3月17日】VIX先物の建玉確認: 投機筋の売玉は減ったもののまだまだショート!?

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Commitments of Traders (COT) レポート

Commitments of Traders (COT) レポートは,米商品先物取引委員会(CFTC)によって,各上場商品の建玉明細を公表するように義務付けられている,市場参加者別の建玉報告書です.なお,CFTCは米国内の株価指数先物や通貨先物などの取引を監視する権限を持つ政府機関です.

COTレポートにはいくつか種類があり,Legacyレポートは Commercial と Non-commercial の2つに部類され,Traders in Financial Futures (TFF)レポートは金融商品である通貨や,債券,株式,VIXなどを4つに分類されます.COTレポートは現地時間の毎週火曜日での建玉数をその週の金曜の午後に発表されます.

Legacy レポートの分類は次のように考えられます.

  • Commercial: 実需の投資家,現物業者など
  • Noncommercial: 大口投機家,ファンド
  • Nonreportable: 非報告建玉(小口の投機家)

出典 Commitments of Traders
出典 Explanatory Notes

また,TFF レポートの分類は次のように解釈できます.

  • Dealer: 市場の仲介・売り方 (sell side).大手銀行や証券ディーラーなど.
  • Asset Manager: 機関投資家.年金ファンド,投資信託,保険会社など.
  • Leveraged Funds: ヘッジファンド.大口の投機家.
  • Other Reportable: 上記以外の報告義務のあるトレーダー.企業の中央銀行,小規模な銀行など.
  • Non Reportable: 非報告建玉.小口の投機家

参考(PDF) TRADERS IN FINANCIAL FUTURES Explanatory Notes

なお,Dealer は仲介なので,その他のカテゴリの参加者の逆のポジションを主に持つことになります.

VIX先物建玉数 (2019/4/23)

さて,2019年4月23日時点のVIX先物の建玉数を確認してみましょう.

建玉数でみるとVIXショックの頃が最大級に積み上がっており,2018年10月頃もそれなりに建玉数が増加していました.2019年4月23日時点では,2018年10月頃までは増加していないものの,じわじわと増加していますね.

次に,Legacyレポートをみてみましょう.

VIXショック頃と2018年10月からの下落相場,そして現在を比べると状況は少し違うことがわかります.

  • 大口投機家のショートが多く,実需の投資家のショートは少なめという関係は共通
  • 4/23時点での大口投機家のショートの建玉は2018年10月の水準を超えた程度.実需の投資家のロングの建玉はVIXショック時より多め.
  • 4/23時点での,大口投機家と実需の投資家のポジションの傾き(同じ参加者同士での建玉の傾き)はVIXショックより差が大きい.

次に,TFFレポートをみてみます.

TFFレポートから,4/23時点の建玉について次のことがわかります.

  • Dealerのロングポジションは2018年10月と同程度であることから,ショートはそのころと同程度たまっている
  • ヘッジファンドのショートポジションはVIXショックや2018年10月頃よりは少ない
  • 機関投資家のショートポジションはVIXショック頃と同程度

VIXショートは溜まってきているので,何かをきっかけに株式市場の下落が起きると2018年10月頃と同程度くらいの下落が発生しても不思議ではない気がします.

気になるのは,機関投資家のショート・ポジション数ですね.もちろん,機関投資家のポジションはロングに偏っているもののその差はそれほどありません.VIXショックのときは,機関投資家でもショートポジションに傾いていたことから,そうなってきたら危ういでしょうね.

おわりに

今回は4/23時点のVIX先物の建玉数を確認してみました.状況としては,着実にVIXショートポジションは溜まってきており,何かをきっかけに株式相場が大きく下げると,それを増幅しかねない状況になっていると思われます.

いつ再び下落相場がはじまるかわかりませんが,一旦始まると一時的には大きく下げる状況が着々と出来上がっているように,VIX先物の建玉数を見て思います.このまま急落が発生せずに,VIX先物のショートポジションが積み上がってくると,それだけ大きな急落が来そうです.

個人的には,株については過剰なロングポジションはとらずに,適度にヘッジをしながらいきたいと思っています.

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