2018/2/2(金)からの米国10年債利回りの上昇にともない,株が下落しVIXが上昇しました.低ボラティリティのなかVIXのショートに賭けていた投資家の買い戻しが連鎖し,2018/2/6(火)にVIXが一時50を超えるほど急騰しました.その結果,VIXのインバースETN/ETFでは90%以上の暴落が発生しました.
参考 【おはぎゃぁー】東証に上場しているVIXインバースETN(2049)が早期償還されました
多分にもれず,SVXYのオプションを取引していた私も大きく被弾しています(ヽ´ω`)とはいえ,2049やXIVのように早期償還されていないので,当初の計画通り,CSPとCCWをたんたんと実行していく予定です.
今回のVIXの急騰が,VIXのショートが溜まった結果であるならば,現状どのくらいVIXのショートが解消されたのかを確認することが大事だと思います.今回の反省と今後につなげたいですしね.
ということで今回は,VIX系ETPのもととなっているVIX先物のポジションが現在どのようになっているのかを確認します.
最新のVIX先物建玉の記事はこちら.
米商品先物取引委員会 (CFTC)
米商品先物取引委員会(CFTC)は,米国内の株価指数先物や通貨先物などの取引を監視する権限を持つ政府機関です.
そのCFTCは,各取引所に対して,各上場商品の建玉の明細を公表するように義務付けています.それが,Commitments of Traders (COT) と呼ばれる参加者別の建玉報告書であり,毎週火曜日時点の明細をその週の金曜日に発表されています.
外部サイト Commitments of Traders | CFTC
外部サイト Historical Compressed | CFTC
建玉報告には次のように参加者が分類されます.
- Commercial: 実需の投資家,現物業者など
- Non-Commercial: 大口投機家,ファンド
- Nonreportable Positions: 非報告建玉(小口の投機家)
もちろんVIX先物の建玉についてもCFTCで公開されていますが,Quandlにグラフ化したものがあるのでそちらを確認したほうが理解しやすいです.オススメです.
外部サイト Commitment of Traders – Vix Futures – Futures Only – Legacy Format (1170E1)
VIX先物
長期の建玉数の推移
まずは長期の建玉数の推移を見てみましょう.比較として,SVXYの株価推移も載せています.SVXYの組成された2011/11/03からのデータを用いています.建玉数は未決済のポジション数(Open Interest)です.
建玉数をみると,2012年の初めに増加したあとは2016年まで建玉数は横ばいです.しかし,2016年に底を打つと急激に建玉数が増加していることがわかります.これは,SVXYの価格が急角度で上昇している時期と重なります.同時期に,大口投機家のVIXのショートポジションも膨らんだいることもわかります.大口投機家がボラティリティが低下する方向へ賭けているということが示唆されます.
直近5ヶ月の建玉数の推移
ここ数週間の参加者別の建玉の状況を確認します.参考に,同時期のSVXYの価格の推移も載せています.
ここ数週間の建玉推移に着目すると,大口投機家は実需の投資家や小口の投機家とまったく逆の動きをしていることがわかります.つまり,大口投機家はVIXが大きくなる(SVXYが下がる)につれてVIX先物のショートを買い戻しているのに対して,実需の投資家や小口の投機家はVIXが跳ねてからVIX先物をショートしていることがわかります.
VIXインバースETPやVIXのショートをやっていて被弾した個人投資家は多いと思いますが,大口投機家が今回のVIX急騰で結構やられてしまったように思います.ただ,大口投機家はさすがにヘッジしているはずなので,連鎖的にあらゆるところへ飛び火することはないんじゃないかなとは思っています.しらんけど(´ー`)
大口投機家のショートの建玉数は2016年4月頃の水準まで減っているものの,アゲインストなポジションがすべて解消されたのかはわかりません.しばらく様子見でしょう.
おわりに
今回はVIX先物の建玉数の長期的な推移と,VIX急騰のあったここ数週間の建玉数の推移を確認しました.その結果,大口投機家がVIXのショートにポジションを傾けており,VIX急騰後大きく建玉数が減っていることが確認できました.
今回のVIXショックで傾けすぎていたショートポジションが解消されているかはよくわからないので,しばらく様子をみるとともに継続的にVIX先物の建玉数は確認していきたいと思います.
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