今回はラテンアメリカの人口動態に着目して,長期投資に適している地域を考えてみたいと思います.前回はヨーロッパの人口動態に着目しました.ヨーロッパは先進国が多い地域ではありますが,長期的に人口増加がみられるイギリスやフランスのような国がある一方で,イタリアやスペインのような人口減少に向かっているような国が混在していました.
因みに今回で主要な地域全てを見たことになります.以下は,過去記事です.
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (ヨーロッパ編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (オセアニア編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (アジア編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (北アメリカ編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (アフリカ編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える
ラテンアメリカ
ラテンアメリカは,中央アメリカ1,カリブ海地域および南アメリカから構成されます.
人口動態
国連の人口動態推計を利用した,ラテンアメリカの地域毎の人口動態グラフです.
出典 United Nations Population Division
ラテンアメリカ全体では,人口は2060年くらいまで順調に増加する見込みです.2015年時点で,6.3億人強だった人口が,2060年頃には7.9億人弱まで増加するようです.2060年以降は,ゆるやかに人口減少に転じ,2100年には7.1億人になる見込みです.
各地域ごとに見ていきましょう.
中央アメリカ
中央アメリカには,メキシコ,グアテマラやコスタリカなどが含まれます.
中央アメリカの人口は2065年頃まで増加し,それ以降は緩やかに減少していく見込みになっています.2015年頃に約1.7億人であった人口は,2065年頃には1.4倍弱の2.4億人弱程度まで増加する予想になっています.この先40年は人口増加が見込めるので,中央アメリカは長期投資の候補にはなりそうです.
南アメリカ
南アメリカには,ブラジル,アルゼンチンやコロンビアなどが含まれます.
南アメリカの人口推移の傾向としては,中央アメリカと同様な傾向が見られ,この先40年は人口増加する見込みです.2015年時点で,南アメリカの人口は中央アメリカと比べて約2倍の4億人程度です.人口のピークが見られる2060年頃には5億人程度になる見込みですね.人口も多く人口増加も長期に続くことから,長期投資の対象として良い候補になりそうな地域だと思います.
カリブ海地域
カリブ海地域には,キューバ,ドミニカ共和国やハイチなどが含まれます.
カリブ海地域の国々は小さな国が多く,人口の少なさと今後の人口推移を見ても,投資冥利はなさそうです.
ラテンアメリカの国々
ラテンアメリカの国々の中で投資できる(ETFがある)国々の人口動態推計を見てみましょう.
ラテンアメリカの国々はいずれもしばらくは人口増加が続きます.人口が多いところでは,ブラジルとメキシコが1億人以上の人口があるので長期投資として魅力的です.一方で,コロンビア,アルゼンチン,ペルーは人口はそれほど多くなく見劣りします.
また,人口増加の持続性という観点では,コロンビアが2045年頃に人口減少に転じる見込みになっていますね.
人口推移の観点からは,いずれの国も人口増加傾向ですので長期投資の選択肢としてはあるかと思います.ただ,個々の国に投資する際には,その国の信用リスクをしっかりと加味した方が良いと思います.例えば,アルゼンチンはここ100年間に5回デフォルトをしています.そのような国には安心して長期投資は出来ないと思います.
ラテンアメリカを対象としたETF
ラテンアメリカを対象としたETFとしは,以下の表のようなものがあります.
シンボル | 名称 | 経費率 | 国 | 取扱証券会社 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
EWZ | iShares MSCI Brazil Capped ETF | 0.63% | ブラジル | SBI証券,マネックス証券,楽天証券 | MSCI Brazil 25/50 Index |
ARGT | Global X MSCI Argentina ETF | 0.74% | アルゼンチン | 楽天証券 | MSCI All Argentina 25/50 Index |
GXG | Global X MSCI Colombia ETF | 0.65% | コロンビア | 楽天証券 | MSCI All Colombia Select 25/50 Index |
EWW | iShares MSCI Mexico Capped ETF | 0.48% | メキシコ | SBI証券,マネックス証券,楽天証券 | MSCI Mexico IMI 25/50 Index |
EPU | iShares MSCI All Peru Capped ETF | 0.63% | ペルー | MSCI All Peru Capped Index |
いずれのETFも経費率が割高ですね.米国株取引を扱っているネット証券会社の中では,ラテンアメリカについては楽天証券が幅広く扱っているようです.どこのネット証券も,ブラジルとメキシコはおさえているので,特に困ることはなさそうです.
まとめ
ラテンアメリカの人口動態に着目して,長期投資として魅力的な地域について調べてみました.人口の多さと長期的な人口増加の観点から,ラテンアメリカの中では,ブラジルとメキシコが長期投資の選択肢のひとつとしてありそうです.
個人的には,ラテンアメリカの地域ではなくて,そこで戦う米国を始めとする先進国の企業に投資するほうが,長期投資として成功する気がします.
- 中央アメリカには通常メキシコを含まないようですが,国連の人口動態推計にはメキシコが中央アメリカに含まれていたため,このエントリ内でもそのように扱います. ↩
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