有望な投資先がいくつかあったとして,みなさんはどのように投資していますか?
私は,予め自分なりの基準に基いて投資候補を数値化し,ランキング形式のウォッチリストにいれて管理しています.有望な投資先だとしても,「これは高いなぁ」と自分が納得できないなら投資しませんし,「これなら持っててもいいかも」と思うなら投資します.売買したときに後悔しないことを重視して投資しています.
さて,過去記事で世界の人口動態から,長期投資に適していそうな地域や国を見てきました.今回はそれらの中から,長期投資として成功しそうだと思われる順に私hassが勝手にランキングをつけたいと思います.
ウォッチリストを作りたかったのでランキングを作りました
コンテンツ
なぜ人口動態に着目しているのか?
まずは改めて長期投資の対象を選別する際に人口動態を気にしているかを簡単に説明します.
人口が増えると消費が増えることが期待できます.特に,使ったり食べたりするとなくなるような,食料や日用品などは人口が増えるとそれだけ必要な数が増えていくでしょう.
また,生活水準が低い新興国では,生活水準が上がることで消費額が増えることが期待できます.いったん生活水準があがると簡単には下げることができませんよね.
そのような状況であれば,私の大好きな食料や日用品といったディフェンシブな銘柄でも,増収増益が期待できると思います.また,多少景気後退があったとしても,人口増による売上・利益の底支えがあるのではないかと思います.要は投資の勝率が高まりそうな要因の一つとして,人口があると思っています.
以上が人口動態に着目している理由です.
ランキングの選定基準
以下の観点に基づき順位をつけます.なお,最終的には私の感性に基づくので恣意的な部分があります.
- 人口
- 人口増加の見通し
- 政治の安定性
人口の多さと今後の人口増加の見通しを考慮します.それに合わせて,政治的な安定性も加味します.これについてはよくわからないので,最終的には雰囲気です
人口動態
まずは,国連の人口動態推計から,私hassの中でノミネートされた国の人口動態を見てみましょう.
出典 United Nations Population Division
凡例をクリックすると表示/非表示を切り替えられます.
まず目につくのは,インドの人口の多さでしょう.2015年頃で13億人程度で,ピークだと思われる2060年頃には17億人弱になる見込みです.
次に目につくのはナイジェリアです.ナイジェリアの人口増加は目を見張るものがあります.
そのふたつの国を除くと,アメリカの人口と人口増加の推計がすばらしいですね.先進国でありながら,2100年まで順調に人口が増加する見込みです.
長期投資に適した国ランキング
以上を踏まえて,私が選んだ長期投資したい国ランキングを発表します.
1位 アメリカ
第1位はアメリカです.人口良し,人口の伸び良しです.政治・経済的にも安定していて,アメリカが経済的にダメになるとしたら,世界経済がダメになっていると思います.
アメリカの企業は世界で活躍する企業が多くあります.みなさん,いろいろと思い浮かぶでしょう.アメリカ国内が多少悪くなっても,そのようなグローバル企業が他の国でちゃんと利益を積み重ねてくれたら良いわけです.私は,アメリカに投資することは世界に投資することとほとんど同じだと考えています.
よほどのことがない限り,経済的にアメリカが優位な状況は変わらないと思います.
長期投資するならまずはアメリカに投資すべきだと思いますね.
2位 インド
第2位はインドです.なんたって人口の多さと,50年先まで人口増加が見込まれることです.
インド経済は次のような状況です.
2005年度-2007年度には3年連続で9%台の成長率を達成し,2008年度は世界的な景気後退の中でも6.7%の成長率を維持,2010-2011年度は8.4%まで回復したが,欧州債務危機及び高インフレに対応するための利上げ等の要因により,経済は減速。2014年度に入り,経済重視の姿勢を掲げるモディ新政権が成立。2014年度のGDP成長率は7.2%,2015年度は7.9%,2016年度は7.1%となった。今後の政策及び政権運営が注目されている。
出典 インド基礎データ | 外務省
経済は順調で政治的にも安定してきている印象です.個人的には,モディ首相のもと安定した政治と経済成長を期待しています.
3位 インドネシア
第3位はインドネシアです.人口は2015年時点で2.6億弱で,この先50年くらいまでは人口増加が見込まれています.
インドネシアの経済状況としては次のような感じです.
1997年7月のアジア通貨危機後,インドネシア政府はIMFとの合意に基づき,銀行部門と企業部門を中心に経済構造改革を断行。政治社会情勢及び金融の安定化,個人消費の拡大を背景として,2005年以降の経済成長率は,世界金融・経済危機の影響を受けた2009年を除き,5%後半~6%台という比較的高い成長率を達成。2010年には一人当たり名目GDPが3,000ドルを突破した。ただし,経常収支の赤字化や通貨安もあり,輸出促進による収支改善が課題。
出典 インドネシア基礎データ | 外務省
インドネシアは内需主導型の経済成長をしています.個人の消費にささえられて経済成長していますので,人口増加が効いてくると思います.
一方で輸出は,鉱物性燃料(石炭,天然ガス)や動植物性油脂(パームオイル)などの一次産品が中心です.インドネシアの工業化ができるかどうかがポイントかなと思います.
4位 ナイジェリア
4位はナイジェリアです.政治・経済としてはとても安心とはいえませんが,人口増加が驚異的な伸びが見込まれていることが理由です.
ナイジェリアの経済は次のような状況です.
2015年3月,国民議会選挙,大統領選挙が実施され,最大野党APC候補であるブハリ元国家元首が,大統領に選出された。また国民議会選挙においても,APCが上院,下院ともに過半数を占め,ナイジェリア史上初めて,民主的手続きによって政権交代が実現した。ブハリ大統領は,ボコ・ハラム対策を始めとした治安対策や汚職対策を優先的に推進している。また,昨今の原油価格下落に伴い,ナイジェリア経済が悪化しており,産業多角化を始めとした経済対策が喫緊の課題となっている。
出典 ナイジェリア基礎データ | 外務省
ナイジェリアの輸出のほとんどが鉱物性製品(原油や液化天然ガスなど)です.通関ベースの構成比は96%強です.完全に資源に依存した経済になっているところが懸念材料です.早急に別の産業を育てて,資源の比率を下げていくことが望まれます.
また,政治も不安定なところがあるため,汚職などの対策を着実にすすめていってほしいものです.
最後に,人口増加が驚異的な伸びが見込まれるというのは良いのですが,急激すぎる人口増加はいろんなところに歪みを生じそうなところも気になるところです.
5位 フランス
5位はフランスです.正直,6位のイギリスと迷いました.人口と人口増加のトレンドはともにイギリスと同程度です.イギリスのEU離脱はイギリスにとって悪影響になるのでは?ということでこの順位です.
フランスの経済は次のような感じです.
フランス経済は概して内需主導で,緩やかな成長が特徴。一方,慢性的な雇用問題を抱える(失業率9.5%(17年第2四半期,一次四半期別速報))。租税・社会保障負担率の高さや,各種規制の強さも仏経済の特徴。
出典 フランス基礎データ | 外務省
人口増加トレンドに加え,内需主導型の経済かつ緩やかな成長が見込まれるので,多少のゴタゴタがあったとしても安心して長期投資ができるのではないかなと思います.
6位 イギリス
6位はイギリスです.理由は5位のフランスで述べたとおりです.
経済状況としては次のような感じです.
英国経済は、内需の下支え、ポンド安を背景とした輸出の増加によりEU離脱決定後も経済成長が継続していたが、2017年前半のGDPの伸びは低調で(第1四半期前期比+0.2%、第2四半期同+0.3%)、景気減速の兆候が見られる。
出典 英国基礎データ | 外務省
イギリスの輸出の半分は EU 向けなので,EU離脱の影響は結構ありそうな気がしています.とはいえ,人口増加のトレンドは緩やかに継続する見込みですし,一時的な景気後退は絶好の買い場かもしれません.
7位 カナダ
7位はカナダです.カナダは米国の隣国で輸出の約75%が米国向けです.輸入も約50%が米国からですね.
カナダの経済状況としてはこんな感じです.
経済・金融危機の影響により2009年はマイナス成長。国内金融市場が安定していたこと等から回復は早く,2010年以降は再びプラス成長。2014年からの原油価格下落により,2015年前半はマイナス成長。後半は底堅い消費に支えられ通年ではプラス成長となった。
出典 カナダ基礎データ | 外務省
NAFTAの見直しという話はありますが,ないとは思いますがアメリカのゴリ押しが通ってしまうとカナダは苦しくなると思います.それがなければ,アメリカの経済成長との相乗効果で緩やかに経済成長するんじゃないかなと思っています.
8位 メキシコ
8位はメキシコですね.2060年頃まで人口増加が見込めます.
メキシコの経済概況として次のような感じです.
昨今の原油価格の低迷を受け,メキシコ政府は2015年1月に歳出削減措置を発表したが,米国経済の回復基調・ペソ安の影響を受け,北米輸出が堅調となり,また国内民間消費も好調であったことから,2015年は2.5%,2016年は2.3%の成長率となり,7年連続のプラス成長を記録した。
出典 メキシコ基礎データ | 外務省
メキシコもカナダと同じでアメリカに対する輸出を頼っています.メキシコの場合は輸出の80%がアメリカ相手です.輸入に対しては46%強をアメリカに頼っています.カナダと同様にNAFTAの行方によって今後が大きく左右されるでしょう.
9位 オーストラリア
9位はオーストラリアです.オーストラリアは人口自体は少ないのですが,長期的には緩やかに増加する見込みです.
オーストラリア経済の概況としてはこんな感じです.
豪州経済は、1991/92年度から25年連続して経済成長を実現。2008年の世界金融危機、2011年のクイーンズランド州洪水被害の影響などからマイナス成長を記録した四半期はあるものの、資源ブームにも支えられ、年度ベースでは一貫して、プラス成長を維持し景気後退を回避。近年では、鉄鉱石など資源価格の大幅な下落による交易条件の低下が続いているものの、堅調な住宅投資、輸出などに支えられ、2015/16年度も実質ベースで2.9%の成長を維持。2016/17年度予算によれば、2016/17年度のGDP成長率は2.5%となり、2018/19年度には3.0%まで回復する見通し。
出典 オーストラリア基礎データ | 外務省
25年連続でプラス成長なのはすごいですよね.輸出の品目としては6割弱が鉄鉱石や石炭,天然ガスなどの鉱物・燃料が占めています.取引相手国としては3割が中国のようです.
10位 ブラジル
10位はブラジルです.人口は多く,この先30年は人口が増加する見込みです.しかし,経済についてはあまりよろしくない状況です.
世界第9位かつ南米最大の経済規模を誇る。テメル大統領は財政規律の強化、構造改革の推進を掲げて国際的信用の回復に努めている。
出典 ブラジル基礎データ | 外務省
2015年の経済成長率はマイナス3.8%で、2016年はマイナス3.6%。(ブラジル地理統計院)。
ブラジルの輸出の4割を大豆や鉄鉱石などの一次産品が占め,同じくらいを乗用車や航空機といった工業製品が占めています.
不調な今が仕込み時かもしれません(ギャンブル的な要素が多分にありますが).
まとめ
人口動態推計をもとに,私が投資したい国ランキングを作りました.飽くまでも私の主観に基づくところがあるので,異論はあるかと思いますが,何かの参考になれば幸いです.
また,各国の現在の株価水準は考慮していないところに注意が必要です.いくら長期で持てば報われる可能性は高いといっても,高値でつかむと報われるまでに長い時間がかかってしまいかねません.底値で買えないにしてもほどほどな価格で投資したいものです.
今後は,表面的にしか分析しなかった国々をより詳細に調査・分析していきたいと思います.
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