つみたてNISAは楽天証券で決まり!? 毎日つみたてで付与される楽天スーパーポイントはお得なのか?

追記(2019/6/19)

楽天銀行のハッピープログラムの改悪により,2019/6/26 0:00以降,以下で説明している方法は無効になりました.

https://www.rakuten-bank.co.jp/info/2019/190613.html

月間で3件ほどしか,ポイントの対象になりません.むやみに投資信託数を増やす意味はなくなりますので,自身の目指すポートフォリオに必要十分な投資信託の組み合わせにすべきでしょう.

2018年1月からつみたてNISAがはじまりました.私は楽天証券でつみたてNISAを行っています.

楽天証券では,2018年9月30日から楽天スーパーポイントをつみたてNISAに使えるようになる予定です.
外部サイト 投信積立でポイント利用が可能に! 2018年9月30日スタート! | 楽天証券

また,楽天証券と楽天銀行間で自動入出金(スイープ)をできるように連携すると,楽天銀行からスイープされる際に,楽天銀行のステージに応じて楽天スーパーポイント(楽天ポイント)が付与されます(ハッピープログラム).

さらに,個々の投資信託に対してポイント付与されるので,つみたてNISAで毎日つみたてを行うと投資信託数$\times$ステージに応じたポイント倍率が毎日付与されることになります.

一方で,複数の投資信託に投資すると管理が煩雑になったり,不必要に信託報酬などのコストがあがってしまったりします.そうなると本末転倒ですよね.

そこで今回は,楽天ポイントの付与による得とコストが上がることによる損を定量的にみて,本当に得なのかを試算してみました.

結論としては,若干得はするものの積極的に楽天ポイントの付与を狙うのは微妙かなと思います.

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楽天証券でつみたてNISA: 楽天銀行と楽天証券を連携させると毎日つみたてで楽天ポイントが毎日付与

楽天証券と楽天銀行を連携し,自動入出金(スイープ)設定をすると,楽天証券の口座残高が不足している際に,自動的に楽天銀行からその不足分が入金されます.

その際に楽天銀行のハッピープログラムでは,ステージに応じて楽天ポイントが付与されます.ステージはベーシックからスーパーVIPまでの5段階あり,VIP以上になるとポイント倍率が3倍になります.VIPになるには対象取引が20回以上必要です.しかし,毎日つみたてをすると楽勝でスーパーVIPになれるので,心配無用です.

毎日つみたてによるスイープは,「楽天銀行即時入金サービス」に分類されます.楽天銀行即時入金サービスは,1日あたり15回の取引がポイント付与対象になります.したがって,毎日つみたてでポイント付与を狙う場合は最大で15種類の投資信託に投資できます.

楽天スーパーポイントを使った投資はお得なのか?

まずは楽天スーパーポイントを使うと得をするのかを考えていきます.

つみたてNISAでは,年間投資額が40万円と決まっています.1年の営業日数を250日とすると,1日あたりの積立額は1600円になります.

年間の上限が決まっているので,つみたてNISAの中だけで考えるとポイントを投資元本を増やすという方向で使うことができません.したがって,つみたてNISAでポイントを使った投資することは,ポイント分だけ割り引いた金額で投資をするという解釈になります.

その結果,ポイントで割り引いた分だけ,現金で投資した分を基準にみると利回りが上昇したようにみえます.これがポイントを使って得をした部分だといえます.

例えば,1600円分投資する際に,100円分をポイントで,残りの1500円分を現金で払うことを考えます.このとき,投資総額としては1600円であり,それを年利$r$の運用したとすると,現金としては1500円しかだしていないので,1500円で1600円を年利$r$で運用した分と同額が得られたことになります.これを年利に戻したものが,ポイントを使うことで押し上げられた年利になります.

以上を式を使って表してみます.1日の投資総額を$P$,そのうち楽天スーパーポイントを使用した分を$p$とします.さらに,1日の営業日数を$d$,投資年数を$y$とすると,現金分の元本に対する利回り(1日あたり)$\tilde{r_d}$は次式で得られます.

\[
\tilde{r_d} = \left(\frac{P}{P-p}\right)^{\frac{1}{d\cdot y}}(1+r_d)-1
\]

なお,1日あたりの利回り$r_d$は次式で求められますね.

\[
r_d = (1+r)^\frac{1}{d\cdot y}-1
\]

因みに,$\tilde{r_d}$を年利$\tilde{r}$になおすと,$\tilde{r}=(1+\tilde{r_d})^d-1$となります.

以上の式を使って,投資信託数毎に$\tilde{r}$が経過年数によってどういう風に変化するかみてみましょう.

なお,投資信託1つあたりのポイント付与数を3とし,簡単のため投資信託数の数に依らず年利$r$は6.0%としました.つまり,投資信託数が増えても,信託報酬などのコストは変わらないとしています.

年数が経過するとともに,ポイントによる影響は小さくなることがわかります.ポイントがもらえると思って,信託報酬などの保有コストを考えずに投資信託数を多くすると,保有コストで損してしまう場合があります.例えば,20年保有するぐらいなら,ポイントによって押し上げられるリターンは0.20%以下なので,下手な投信を使ってしまうとコスト負けしてしまうということです.

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具体例で楽天ポイントを使う効果をみてみる

次に現実的なポートフォリオを例にとって,ポイントを狙って投資信託数を増やすのが得なのか損なのかをみていきます.

さらに,つみたてNISAでの毎日積立を想定しているので,積立全体のパフォーマンスも合わせてみてきます.

なお,投資信託の種類ごとに付与される楽天ポイントは3ポイントとして計算しています.

ポートフォリオ例

パフォーマンスが異なるものでは比較できないので,「eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)」 と同じようなパフォーマンスになることが期待できるように,以下の表の投資信託を用います.

銘柄名ファンドの管理費用年利(20年)配分
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)0.1534%5.67%81.25%
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)0.1717%3.20%6.25%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス0.1183%6.00%6.25%
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス0.2052%7.80%6.25%

ファンドの管理費用は,楽天証券で見れるデータを用いており,「ファンドの運用・管理にかかる諸費用の他、投資先の信託報酬を含めた実質的な信託報酬」です.年利は,「わたしのインデックス」から各投資信託のベンチマークの,平均年利(20年間)をもちいており,全世界株式(3地域均等型)の年利は単純に各ペンチマークの平均をとったものを使っています.したがって,リバランスなどの影響は無視しています.

コストは最小化したいので,全世界株式(3地域均等型)以外の比率は100円投資した場合の配分,つまり6.25%の比率にしています.その結果,4つの投資信託を合成した結果のコストは,0.1556%になっています.ちょこっとだけコストが増加しています.

現金投資分に対する利回り

楽天ポイントを使用した場合に,元本に対する利回りを見てみましょう.

上で確認したように,年数を経る毎に楽天ポイントによる効果は本来の利回りの5.67%に漸近していくことがわかります.

しかし,毎日つみたてを行った上で資産全体の平均利回りでみると,40年間であっても0.1%程度の利回り向上がみられます.裏を返せば,実質コストがそれを上回るほどぶれてしまうと,損をしてしまうことになります.

トータル・リターン

トータルリターンでも確認してみましょう.

ベンチマークは「全世界株式(3地域均等型)」ですが,ほとんど重なっています.したがって,複数の投資信託を組み合わせたことによるコスト増の影響は軽微だといえるでしょう.

実際お得なの?

以上のように,利回りとかトータルリターンとかをみてきましたが,ここで楽天ポイントを使うことで実際得をするのかをみてみましょう.

つまり,ベンチマークとのトータルリターンの差が付与された楽天ポイントより大きいかどうかを確認します.

楽天ポイントは年数を経る毎に線形に増えていきますが,トータルリターンの差は複利で増えていきます.今回のポートフォリオの例では,だいたい25年目をピークに楽天ポイントで得する量が減っていきます.40年でほぼとんとんぐらいですね.

結論としては,総量としてわずかに得はするものの,積極的にやるほどではないと思います.むしろ目先のポイントに目がくらんで徒に投資信託数を増やすと失敗するリスクが高まるように思います.目標としているポートフォリオ配分を実現しようと結果として投資信託が増えて,楽天ポイントももらえてラッキーと思うのが良いように思います.

おわりに

今回は,楽天証券のつみたてNISAで毎日つみたてを行った際に付与される楽天ポイントがお得なのかどうかを,その楽天ポイントをつみたてNISAに用いることを念頭に検証しました.

その結果,若干お得であるものの積極的に楽天ポイントを狙って投資信託数を増やす意味は薄いように思います.

また,本来は個人型確定拠出年金(iDeCo)やその他の資産を合わせてポートフォリオを組むべきであり,今回のようにつみたてNISAの中だけで配分を決める意味はそれほどないと思っています.

さらに,今回のように楽天ポイントを狙って投資信託数を増やし,仮に人気がない投資信託に投資をしてしまうと早期償還される可能性があります.また,毎日つみたてで付与される楽天ポイントはおまけであり,今後何十年も続く保証はないことに注意がひつようです.昨今のポイント界隈の動向をみていると,いつ改悪されてもおかしくありません.まぁ,そうなってしまったらあきらめるしかありませんが(´ー`)

こちらの記事では,楽天スーパーポイントを積極的にとりにいく際の具体的なポートフォリオをいくつか考えています.

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