【2018年12月期】OATアグリオの株主総会にいってきたよ

2019年3月20日(水)にOATアグリオ(4979)の株主総会がありました．昨年に引き続き，今回も都合がついたので参加してきました．

日本株ポートフォリオの主力かつ，2018年にOATアグリオは今まで以上に積極的にM&Aを繰り返していているため，株主総会には参加したいとおもっていました．

ということで今回は，OATアグリオの株主総会に言ってきた感想と質疑についてざっとまとめます．なお，株主総会では写真撮影や録音などは禁止されていたので，会場の写真はありません．

因みに，昨年の株主総会の内容は次のとおりです．

OATアグリオ

OATアグリオは，農薬と肥料など化学肥料の製造・販売を行う企業です．防除技術・施肥灌水技術・バイオスティミュラントの3つのアグリテクノロジーで食糧増産へ貢献を目指している企業です．バイオスティミュラントは，植物の免疫力を高め，環境や害虫に対する耐性や成長を強化する技術です．そのほかに，作物に必要な水と肥料を自動的に施用する，養液土耕栽培システムの販売も行っています．

2018年ではOATアグリオは積極的にM&Aを行いました．2018年7月にスペインのLIDA社を買収，2018年12月はオランダのクリザール社を買収しています．LIDA社は，天然の防除資材，肥料，バイオスティミュラントのは開発・製造・販売を行う会社です．一方で，クリザール社は花と植物の鮮度保持剤の研究開発・製造・販売を行う会社です．また，これらの買収の結果，OATアグリオの構成員の約6割が外国人になったとのこと．

クリザール社を買収するにあたって，OATアグリオは80億円のブリッジローンを組んでいます．営業利益は約18億円くらいですから，営業利益の4年から5年分の資金をブリッジローンで調達していることになります．株価はピークの4000円強から1650円弱と半分以下になっていることから，市場からは財務的な不安やM&Aの失敗を危惧しているような印象を受けます．

株主総会の雰囲気

株主総会は，昨年と同様に，東京都内のちょっと広めの貸し会議室で行われました．

出席した株主数はおおよそ30名から40名くらいだと思います．昨年と同様に，エレベーターの扉がひらくとずらっとスタッフが並んでいる状況でした．株主総会には30台40台の人もちらほら見受けられましたが，メインは50台以上という感じでした．

質疑応答

今回の株主総会では主にM&Aに関する質問が飛び交いました．やっぱり気になるところでしょう．関連する質疑については適宜まとめながら，内容をまとめます．が，私がメモした内容と記憶に基づき，書いているので間違いがあるかもしれません．重要な事項に関しては，IRに直接尋ねることをオススメします．

のれん106億円の内訳は？

2018年12月期通期では，106億円ののれんを計上しているが，その内訳とその償却期間を教えてほしい，という趣旨の質問がありました．

会社側の回答をまとめると以下のような感じ．

• のれんの内訳としては，LIDA社22億円，クリザール社が84億円という内訳になっている．
• 償却期間については，LIDA社は10年だが，クリザール社の方はまだ取得価格配分(PPA)がまだのため10年か15年か今は決まっていない
• クリザール社はもともとファンドの傘下であったため，のれん代が大きい
• のれん代は営業利益を算出する上で販管費に含まれている

M&Aの基本姿勢・プロセスは？

M&Aを行う際に，買収先企業をどのように選んでいるのか，どのようなプロセスを経ているのか，という趣旨の質問がありました．

それに対し，会社側はこんな感じの回答でした．

• M&Aは人と人との結婚（と同じ）．相手がどんなに良くても相性がある．
• OATアグリオの事業の範囲に相手先企業が入っているか，シナジーが高められうかで決めている

クリザール社とのシナジーは？

クリザール社は鮮度保持剤の企業であるが，OATアグリオとのシナジーがあるのはバイオスティミュラント分野だけなのか？それとも農薬分野もあるのか，という質問がありました．

それに対して，会社側はこんな感じの回答でした．

• クリザール社とは農薬に関しても話が進んでいる
• 3月はじめから，ケニアでクリザール社といっしょにタイアップをして販路を広げている

OATアグリオの広報について

M&Aのプレスリリースするたびに株価が下落している．うまく広報できていないのではないか？また，M&Aのメリットが強調されていて，リスクについてちゃんと説明されていないのでは？その結果株価の下落につながっているのでは？という感じの質問がありました．

それに対して会社側の回答はこんあ感じでした．

• 貴重なご意見として承る
• 今年からは個人投資家向けの説明会を増やしていく

クリザール社の売上，利益と借入金の金利との関係は？

クリザール社の売上や利益がどれくらいで，それに対して借入金の金利はどれくらいなのか，という質問がありました．

それに対しては，こんな感じの回答でした．

• クリザール社の今年の目標は売上65億円に対して営業利益が4億円くらい
• クリザール社を買収した際の借入金（80億円）の金利は年間で1億円
• クリザール社自体の借入金は35億円くらいあり，その金利も年間で1億円くらい

本業とは関連なさそうな子会社があるけど…?

重要な子会社に電力販売をしている会社があるが，これは本業になにか関係があるのか？という質問に足し，こんな感じの回答でした．

• LIDA社の工場の屋根にソーラーをつけている．
• それを別会社としており，売電もおこなっている．

おわりに

今回はOATアグリオの株主総会での感想と質疑応答をざっとまとめました．

個人的には，かなりポジティブな印象を持ちました．積極的に海外に展開しており，今回のクリザール社の買収で一気に販路が拡大しそうな雰囲気です．

業種的には業績が景気に左右されにくい業種だと思っています．農薬，肥料・バイオスティミュラントは天候に業績が影響を受ける，言うなれば天候循環みたいな業種ですね．現状の1650円くらい株価はかなり割安だと考えています．

とはいえ，世界的な景気減速が起こりつつある状況では，さらに株価はさがる気がしています．ただ，長期的にしっかりとした成長が見込めると思っているので，このままホールドし続けたいとおもいます．