2019年5月30日,イオンディライトの第46期定時株主総会が開催されましたので参加してきました.
今回の株主総会は,イオンディライトの子会社であるカジタクの不適切な会計処理問題があり,その超最委員会の中間報告書が出た段階の株主総会でした.今回はその報告が主な内容でした.
ということで,今回の株主総会での様子や質疑の内容を感想を交えながらまとめておきたいと思います.なお,私は所用で途中退出したため,完全ではないことをご承知おきください.
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イオンディライト
イオンディライトは,イオンが親会社であり,イオングループの施設管理運営にかかわる業務を行っている総合ファシリティサービス企業です.事業セグメントは,設備管理,警備,清掃,建設施工,資材,自販機,サポートの7つのセグメントから成ります.
イオンディライトは長い間,増収・増益を安定して続けてきた優良企業でした.具体的な業績はバフェットコードを参照すると良いです.
しかし今回,サポート事業に含まれる「カジタク」で不適切な会計処理が発覚しました.株主としては,この不適切な会計処理が,イオンディライト本体の業績に対してどれくらいの影響があるのか,が興味のあるところです.
カジタクの不適切な会計処理
2019年4月11日に,本件に関して,特別調査委員会が設置されました.その後5月24日に,中間報告書が開示されました
PDF 当社連結子会社カジタクにおける会計処理問題に係る特別調査委員会からの中間報告書の受領について
カジタクは次の2つの事業を行っています.
- 店頭支援事業: 小売店舗などに対して,複写機や証明写真機の販売・保守
- 家事支援事業: 一般消費者に対して家事代行やクリーニングサービスを提供する事業
このうち,店頭支援事業において不適切な会計処理が行われている可能性が見つかったわけです.
カジタクの不適切な会計処理問題は以下のサイトがわかりやすいです.
中間報告書によると,認定された不正は以下のとおりです.結構たくさんあります.
- 未設置物件請求による売上の水増し
- 損益調整による架空売上の計上等
- 証明写真機仕入先に対する仕入れの未計上等
- 中古複写機などの仕入れの未計上
- 新品複写機の仕入れの未計上等
- 実態を反映しない卸資産評価等
- その他の不正行為
また,これらの不正に対して,カジタクの経営陣は,「会計の認識欠如や決済手続きの運用不備で,経営陣が不正行為への関与や認識は認めていない」とのこと.ただし,不正行為への関与を裏付けるメールなどが存在し,経営陣が不正行為への関与や認識をしていた可能性が高いようですね.
株主総会の雰囲気など
さて,不正行為が発覚してから,イオンディライトの株価は大きく下落していたことから,株主総会は荒れるかなと思っていましたが,そうではありませんでした.質問の際にたまに声を荒げる株主はいましたが,終始落ち着いた雰囲気でした.激励を述べる株主もいました.
会場は広めのホールでしたが,その半分くらいのスペースに疎らに,参加した株主は座っているかたちでした.ざっと見渡してみたところ,150名から200名くらいが参加されていたように見えました.まぁ平日ですしね.
また,株主総会でお土産をもらいました.爽やかなグレープフルーツの香りのするハンドクリームとボディソープでした.
質疑
質疑については,ほとんどがカジタクの不適切な会計処理に関係する内容でした.ただ,まだ第三者調査委員会が中間報告書を出した段階で継続している段階であるため,具体的な内容に突っ込んだ質問については回答は差し控えられていました.
調査委員会の最終報告が6月下旬に提出される予定であり,その後2019年2月期決算が確定した後に開催される臨時株主総会にて,具体的な不正内容に突っ込んだ質問ができるのだと思います.
なお,メモと記憶をもとに書いているため,誤認している部分があるかもしれません.また,途中で退席したため,すべてを網羅しているわけではないことに留意してください.
不正が本体に与える影響は?
カジタクの不正はイオンディライト本体の事業に対して与える影響はあるのか?
調査が継続中のため,現時点での業績の影響に関して言及は控えたい.
ただ,現時点ではネガティブな問い合わせ等は特にないので,他の事業の影響現時点ではないと考えている
今後の株主還元は?
今回の不正によって一時的に財務は痛むと思うが,配当政策を始めとする株主還元についてはどうか?
一定の基準で継続的に株主還元を行っている.現時点では新たな施策はない.
社長がカジタクの社外取締役だけど…?
イオンディライトの社長はカジタクの社外取締役だが,社外取締役からみてカジタクの内部の雰囲気はどうだったのか?
不正が発覚した経緯は?
イオンディライト社長は,2018年5月からカジタクの社外取締役.社外取締役としての役目をしっかり果たしてきた.カジタクの内部の状況については,調査委員会が継続中であるため,差し控えたい.
不正が発覚したのは,(イオンディライト社長が)社外取締役としてカジタクの取締役会(2019年1月)にて,賃借対照表のバランスがおかしいことを常勤取締役に問いただし,その場では明確な回答が得られなかった.その後,社内で調査した結果,不正が行われている可能性が発覚した.
カジタクの事業にもとから魅力がないようにみえるが?
今回の不正の説明を聞いていると,もともとカジタクの事業に魅力がないように見える.利益の出ていたと思われていた店頭支援事業は5年間ずっと粉飾されているし,家事支援事業はずっと赤字続きだ.なぜカジタクをグループ化(子会社化)したのか.
まず現段階では,5年間ずっと不正があったとは調査委員会からは認定されていない.ただし,内容を見ていると5年間ずっと不正がされていた疑いが高いようにみえる,ということ
イオンディライトのB2Bを支えるその先をみたときに,子会社化当時,カジタクはマンション管理事業,家事支援事業,(あとなにか,聞き逃した(´・ω・`))を行っていた.当社の事業と大変シナジーがあると思い子会社とした.
これは推測ですが,カジタクを子会社化した当時は,現在の店頭支援事業と家事支援事業だけではなくほかの事業もやっていたのではないでしょうか.その後,グループ内で事業が再編されたのでは?と思っています.詳細は調べてません(´・ω・`)
決算はさかのぼって修正するのか?
調査内容の説明を聞いてみると5年の間行われている.決算はどういう風に処理をするのか.今までの決算を遡って修正するのか?
2013年からの調査期間において,(中間報告段階では)累積は96億円と出ているが,その期間中の各期間においてどれくらい影響があるのかは認定されていない.
今の段階では,過去を遡って修正するかどうかについては回答できない.
役員報酬の減額や各役員報酬の開示はしないのか?
これだけの不正が行われているのに,役員報酬の減額が議案にないのはなぜ?各役員の役員報酬は開示しないのか.
報酬額の減額についてはこの場では受けられない.
役員報酬額の総額は開示しているが,個々の役員報酬については開示していない.法令に従って開示している.
これは質疑が噛み合っていないと思いました(´・ω・`)
カジタクは切り捨てるのか?
話を聞いていると,株主としてOBとしてがっかり.カジタクが可愛そうだと思った.カジタクを切って終わりなのか?2018年に資金繰り悪化がわかっていながら,なぜ今なのか?
140名のカジタクの従業員の生活を預かっている親会社として,決してカジタクを切って終わりと考えているわけではない.グループ一丸として,調査委員会の最終報告書の結果をもって,カジタクの事業の継続等を考えていく.
私が株主総会で聞いている感じでは,カジタクに責任を擦り付けるような雰囲気は感じませんでした.また,2018年に資金繰り悪化がわかっていた,というのも誤認のような気がします.
おわりに
以上のようにイオンディライトの株主総会に参加してきました.所用のため途中退出したため,最後まで参加できませんでした.
聞いていて1点疑問におもったので,質問したかったのですが,タイムアップでした(´・ω・`)
聞きたかったのは次のような質問です.不正発覚の経緯について,中間報告書によると,2018年にカジタクの資金繰り悪化により親会社に相談したことから判明したとあるのに,質疑の回答では,イオンディライトの社長がバランスシートの不均衡を発見・指摘したとなっています.話の整合性が取れていないように思うんですが,なぜ?
いずれにせよ,今回の会計不正の影響が確定し,今後の再発防止策等は最終報告書(6月下旬を予定)がでてくまでわかりません.
ただ,中間報告書での財務への影響と現時点での他事業への影響を考えると,現在の株価は売られすぎな印象を持ちます.もちろんポジショントークですけどね(´ー`)
追記: その後,特別調査委員会からの最終報告書が出た後に行われた臨時株主総会に行ってきました.そのレポートが以下の記事です.
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