S&P500が,2月6日のVIXショック前の高値を超え,上場来高値を更新しました.米中貿易摩擦やトルコ通貨安などの問題もありながら,S&P500はじわじわ上昇してきました.
そこで気になるのがVIX先物建玉数です.VIXショックでは,VIX先物建玉数がショートに大きく傾き,S&P500のボラティリティが高まった事によって,VIX先物のショートポジションの巻き戻しが起きたことがその原因のひとつと言われています.
仮にVIX先物の建玉が大きくショートポジションに傾いたときに,リセッションに突入してしまったりすると,ビックリするような暴落がありえると思います.
ということで,今回は簡単にVIX先物の建玉を確認します.
結論としては,VIX先物の建玉数は大きく回復してきており,大口の投機家はショートポジションに大きく傾けてきているため,定期的に確認することが大事だと思います(´ー`)なお,現物の業者は逆にVIX先物のロングポジションが増えてきているので,株式市場の暴落に備えているようにみえます.
最新のVIX先物建玉の記事はこちら.
VIX先物建玉数 (2018/08/21時点)
米商品先物取引委員会(CFTC)のCommitments of Traders (COT) からデータを引っ張ってきます.したがって,8月21日(火)取引終了時点の建玉数になります.なお,上場来高値を更新する前の建玉数であることに注意してください.
超長期のVIX先物建玉数
まずは,建玉数の長期推移です.
VIXショック直後には,VIX先物建玉数は,2012年から2015年までのレンジ上限付近まで減りました.その後,8/21現在までに2016年の上限付近まで大きくポジション数が回復してきています.
2018年1月からのVIX先物建玉数
2018年1月からのVIX先物建玉数を,参加者別にみてみます.
VIXショック発生直前には,大口の投機家(Non-commercial)のポジションは大きくショートに傾いており,逆に現物の業者(Commercial)のポジションはロングに傾いていました.そしてVIXショックが発生すると,大口投機家のショートポジションは大きく減り,逆に現物業者のショートポジションが大きく増えていました.
一方で8月21時点では,大口の投機家のショートポジションはVIXショック時には及ばないものの,大口投機家のロングポジションとの差し引きではVIXショック前より大きくなっています.現物業者のポジションはそのほぼ逆になっています.
これらから推測すると,
- 大口投機家は,短期的には米国株式市場は大丈夫だからVIXショートしたろ
- 現物業者は,中長期的にはそろそろリセッションに入るんちゃうか.ぼちぼちVIXロングでリスクヘッジしたろ
と考えているんじゃないかなと思います.
今すぐ第2のVIXショックが起きるような水準ではなさそうですが,注視しておいた方がいいんじゃないかなと思います.
おわりに
S&P500が上場来高値を更新したということで,今回はVIX先物の建玉数を確認しました.
VIXが原因で,今すぐ暴落が発生するような水準ではないと思いますが,少なくとも米国市場でずっと強気で行くには警戒しておいた方がいいかなぁと思います.
個人的には,しばらくはVIXショートに類するポジションは縮小していく予定です(´ー`)
コメント