2019/7/6(土)に「楽天証券サービス開始20周年記念投資セミナー(大阪)」が開催され,とりあえず申し込んでいたらめでたく当選していたので参加してきました.前日に気がついたのですが,日興アセットマネジメントさんの「グローバル3倍3分法ファンド」に関するセミナーがあるということで,それ目当てに行ってきました.
今回は,セミナーの内容やブースで伺った話を備忘録的にまとめたいと思います.主に記憶に基づいて書いているので,記憶違いの部分があるかもしれません.ご了承ください(*´ω`*)
ちなみに,昨年も「楽天証券サービス開始19周年記念投資セミナー」があって,参加しています.もしかしてこれって毎年あるの?
コンテンツ
概要
昨年に引き続き,メイン会場,ミニセミナー会場,そしてブースエリアの立ち見セミナーの3種類のセミナーが同時平行で開催されていました.ブースエリアでは,楽天証券の各種サービスのブースの他,運用会社やパンローリングのブースもありました.
私は以下の3つのセミナーに参加しました.
- デービッド アトキンソン「生産性の向上について〜人口減少x高齢化に打ち勝つ企業の生産性向上戦略〜」
- 杉原杏璃・藤野英人対談「七転び八起きの投資術。〜株式投資は続けたもん勝ち〜」
- 日興AM「有効フロンティアの上を目指す「増やすための分散投資」〜グローバル3倍3分法ファンド〜」
最初の2つはセミナーのあとに,パンローリングブースで著書を購入するとサイン会に参加できる特典がありました.
本当はブースをいろいろとまわりたかったのですが,思いの外全体の終了時間が早く日興AMのブースしか立ち寄れませんでした(´・ω・`)
セミナー
生産性の向上について〜人口減少x高齢化に打ち勝つ企業の生産性向上戦略〜
セミナー,非常におもしろかったです.要点をまとめるとこんな感じ.
- 経済は「GDP x 生産性」.日本経済の強みは人口が多いこと.しかし,日本の労働人口は2015年から2060年までで約42.5%減少する見込み.これは他の国と比べたダントツに急激な減少.経済の縮小を抑えるためには,生産性向上がキモ.
- 日本の生産性低迷の原因は何か?それは経営者が奇跡的に無能だから.日本の人的資本と物的資本は他の先進国と大差ない.つまり,労働者の問題ではない.でも,日本の生産性はイタリアやスペインより下回り,ギリシャに比べて3%良いくらい.経営者のマネジメントやブランド力(付加価値)が生産性低下を招いている.ただ,人口減少のなかで生産性が低いということは,改善する余地があるのでのぞみはある.
- 生産性を上げる方法は?生産性に相関があるのは次の通り(イギリスの調査より).Entrepreneurship をあげることが大事.つまり経営.
- Entrepreneurship (0.91): 新しいことに挑戦する,企業のあり方を全面的にかえる
- 設備投資 (0.77)
- 社員教育 (0.66)
- 技術革新 (0.56)
- 競争 (0.05)
- 生産性の低い国の共通点.それは小さな企業(社員20人未満)が多すぎること.日本はイタリア,スペインとギリシャと同様に小さな企業が多い.全体の半分くらいが小さな企業.アメリカが強いのはベンチャが強いのではなく大企業で働く人の割合が多いから.成長しない中小企業はいらない.人材投資は重要で,大企業は人材投資をするけど,小さな企業は人材投資をしない.生産性を高めるには労働集約が必要.
- 最低賃金と生産性には強い相関がある.イギリスは最低賃金をあげることによって生産性を高めてきた.これは実際に実証・検証されていること.反論として韓国が最低賃金を上げて経済に悪影響がでていることを指摘されるが,それは急激に最低賃金をあげたから.年率12%を超える最低賃金の引き上げは経済に悪影響を与えることはわかっているが,韓国はそれ以上にあげてしまったから.また,最低賃金を上げると失業率があがると言われているが,実際イギリス,中国,ニュージーランドなどは最低賃金の引き上げで失業率は低下してきた.日本の場合は年率4,5%くらいあげていけば生産性はあがっていくだろう.
結局のところ,成長性を考えない中小企業が生産性の足を引っ張っているので,そこを改善しないとダメでしょう,という話でした.個人的にも,大企業により労働者の搾取というのはメディアにもとりあげられ叩かれはするけど,零細企業はうちは苦しいんだと弱者であることはアピールされがちだけど,本当に経営者として企業を成長させようと思っているのか,企業を私物化していないのか,疑問に思います.
いずれにしても,日本の生産性改善に際して,単なる思いつきではなく,データに基づいてきっちりと科学的根拠を持った政策をして欲しいなぁ,と思いました(参院選も近いのでそんなことを思いました).
七転び八起きの投資術。〜株式投資は続けたもん勝ち〜
今回の対談は,タレントの杉浦杏璃さんとひふみ投信でお馴染みの藤野英人さんで,
- 投資を始めたきっかけ
- 良い企業と悪い企業の見分け方
- 投資の失敗談
などについて,話がありました.
そのなかで私の印象に残ったのは,藤野さんの
- とろこてん方式: ポートフォリオにおいてA社よりB社の方が良いと思ったときに,A社を売ってB社買う(入れ替えること)
- 簿価(株の買値)を消して,時価しかみない.時価を見てそれが割安だと思うなら保有をして,割高と思うなら売却する.
です.ただ,機関投資家の投資と個人の投資は違っていて,機関投資家は基本的に銘柄を分散保有するけど,個人はそこまで分散させる必要はないとのこと.それよりは,自分の生活に密着した得意な銘柄を持つことが大事,というような話もされていました.
有効フロンティアの上を目指す「増やすための分散投資」〜グローバル3倍3分法ファンド〜
今回期待して行ってみたのですが,セミナー自体はいまいちでした.内容は「3倍3分法Magazine(PDF)」にそってグローバル3倍3分法ファンドについてを説明するというかたちでした.なので,3倍3分法の理解が今以上に進むことはそれほどなく,まぁ不満だったので日興アセットマネジメントさんのブースに行っていろいろと話を伺いました.
直にお話を伺うと,親切丁寧にいろいろと教えていただき,また,3倍3分法に対する熱い熱意も感じることができました.セミナーでの話も含め,気になっていることを聞いてみました.こんな感じです.
15年前から構想はあったという話はあったということだが,なぜ昨年まで実現しなかったのか?先物を使ってレバレッジをかけるというやり方は昔からできるのでは?
昨年S&Pが長期の先物指数を出したのがきっかけ.このおかげで,長期のバックテストができるようになり,商品化に至った
これを聞くのはおかしな話ですが,他の運用会社からレバレッジをかけたバランスファンドが出てきてないのはなぜでしょう?
まぁたぶんこれから出てくるでしょうね.なので,さらに1歩先を行く商品開発を行っている
ここしばらくファンドの現金比率が30%近く大きくなっていたが,直近の5月末時点の月次レポートではそれが縮小している.原因は何?
新規設定のファンドによくあることだが,ありがたいことに資金の流入量が大きくマザーファンドへの投資に多少時間があることもあり現金比率が大きくなっていた.今はフローを見直し,マザーファンドへの投資までの期間を短くするなどして,現金比率が縮小傾向にある.また,純資産額が大きくなることで相対的に流入量が小さくなり,現金比率は小さくなるだろう.
プロの投資家なので先物の証拠金は1.5%程度で,日次,週次,月次の価格変動から追証にならない程度にその倍くらいの証拠金をいれている.ゆくゆくは現金そのものの比率はもっと減らすことはできて,あまった分は短期のコールにだしたい
セミナーでは5倍のレバレッジもかけることもできたけど,3倍にしたということだけれども,個人投資家からみるとシャープレシオの高いポートフォリオにレバレッジをかけることのコストが高いので,究極にレバレッジをかけたバランスファンドをつくって欲しい.その上で,各自のリスク許容度に応じて,それと債券などを組み合わせて薄めて使えばいいので.
3倍にしたのは,商品開発の際に,トレーダーにヒアリングを行った結果.債券にレバレッジをかけているのは,リーマンショック以後で債券の利回りがとれなくなったというのもあって債券にレバレッジをかけている.
既存の枠組みにとらわれている部分もあるので,より大きくレバレッジをかけたのも含めいろいろ検討している.
3倍3分法ファンドは10年間で満期で償還されることになっているが,その期限は延びることはあるの?
以前はファンドは無期限で設定していたけど,最近は10年として設定するようにしている.ファンドの資金の流入量に応じて償還期限は伸ばすことはできるので心配しなくて良い
という感じで,周りでは撤収作業をしている状況で,いろいろなことを親切に教えてもらいました.また,以下の記事かいていようなことも要望として伝えたので,実現するといいなぁと思います.
おわりに
といった形で,全体として満足度の高いセミナーでした.こういうセミナーはセミナーの内容よりも,中の人の話を聞くのが大事だと思っています.来年も機会があったら積極的に参加したいと思っています.
日興AMさんのグローバル3倍3分法ファンドに対する本気度が伝わってきてよかったです.
あとは,他の運用会社からレバレッジドバランス投信がでてきて,切磋琢磨していろんな選択肢がでてくる良いんですけど,どうでしょうかねー.
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