前回はオセアニアの人口動態に注目して,長期投資に魅力的な国があるかどうかをチェックしました.投資対象になりそうなのはオーストラリアでしたが,長期的に人口は増加しつづけるものの,人口そのものはあまり多くないのでいまいち魅力にかけました.
今回はヨーロッパの人口動態に注目して,人口の観点からヨーロッパの国々が長期投資の対象として魅力的かみてみましょう.
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (オセアニア編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (アジア編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (北アメリカ編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える (アフリカ編)
過去記事 世界の人口動態から長期投資に適した地域を考える
ヨーロッパ
ヨーロッパは4つの地域に分けられます.それぞれの地域の人口動態をみていきます.
人口動態
国連の人口動態推計を利用した,ヨーロッパの地域ごとの人口動態グラフです.
出典 United Nations Population Division
2つのグラフでは,異なる色を凡例に使っています.注意してください
ヨーロッパ全体の人口動態をみると,すでに横ばいから人口減少に移っているのがわかります.地域ごとの人口比率は,2100年時点でも大きな違いがありません.東ヨーロッパの比率が若干減少して,来たヨーロッパの比率が若干増加するという感じでしょうか.
いずれにせよ,ヨーロッパ全体に投資するより個別の国や企業を見たほうが良い気がします.
次は各地域をみていきます.
東ヨーロッパ
東ヨーロッパには,ロシア,ウクライナ,ポーランドなどが含まれます.なお,ロシアは北アジアに分類される場合もあるようですが,国連の人口動態推計にしたがって今回は東ヨーロッパに分類しています.
東ヨーロッパの人口は大きく減少する見込みです.2015年頃に3億人弱の人口であったのが,2100年には2.1億人程度に減少するようです.この減少は,ロシアの寄与が大きいですね.余程のことがない限り,長期にロシアに投資することはやめておいた方が良いとおもいます.
北ヨーロッパ
北ヨーロッパには,イギリス,スウェーデンやフィンランドなどが含まれます.
ヨーロッパでは珍しく人口が増加している地域です.2015年時点では,1億人弱だった人口が2100年には1.2億人に増加しています.人口もそれなりに多く比較的政治経済が安定しているので長期投資の対象としてありだと思います.ただ,BREXITの影響がどう影響するのかいまいちわからないので私は様子見になると思います.
西ヨーロッパ
西ヨーロッパには,ドイツ,フランスやオランダなどが含まれます.
西ヨーロッパの人口が1.9億人強程度でずっと横ばいの推計になっています.人口ボーナスによる恩恵は得られなさそうです.
とはいえ,人口が多いという点と政治経済が安定している点では,長期投資をしてもおもしろい地域ではないかなと思います.確固たる根拠はありませんけどね.
南ヨーロッパ
南ヨーロッパには,イタリア,スペインやポルトガルなどが含まれます.
東ヨーロッパと同様に,南ヨーロッパの人口は下落傾向です.2015年頃には1.5億人だったのが2100年には1.1億人弱に減少しています.高齢化も進んでいる国々が多いので,長期投資の対象としてははずしたいなぁ,と思います.
ヨーロッパの国々
次に,ヨーロッパの主要な国々の人口動態をみてみます.
イギリスとフランスを除く国々の人口は,横ばいか長期的に減少傾向ですね.人口増加という点でイギリスとフランスは長期投資の候補になりうると思います.上でも書きましたが,移民問題からBREXITというのが,長期的にどう影響してくるのかわからない以上は,進んで投資しようとは思わないですね.
ヨーロッパを対象としたETF
最後にヨーロッパを対象としたETFを表にまとめます.
シンボル | 名称 | 経費率 | 国 | 取扱証券会社 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
EWU | iShares MSCI United Kingdom ETF | 0.48% | イギリス | MSCI United Kingdom Index | |
EWQ | iShares MSCI France ETF (EWQ) | 0.48% | フランス | MSCI France Index | |
EWG | iShares MSCI Germany ETF | 0.48% | ドイツ | SBI証券,マネックス証券,楽天証券 | MSCI Germany Index |
FEZ | SPDR EURO STOXX 50 ETF | 0.29% | ヨーロッパ | EURO STOXX 50 Index | |
VGK | Vanguard FTSE Europe ETF | 0.10% | ヨーロッパ | SBI証券,マネックス証券,楽天証券 | FTSE Developed Europe All Cap Index |
国内ネット証券(SBI証券,マネックス証券,楽天証券)では,EWGとVGKしか取り扱っていないようですね.イギリスやフランスに投資するならIB証券のような海外口座を作る必要があります.まぁヨーロッパに投資するなら,VGKが良いかなぁという印象ですが,長期投資としてはあまり魅力を感じません.
とはいえ,個人的にはヨーロッパ全体に投資するよりは,米国に上場しているヨーロッパのブルーチップ企業に投資するのが良いのでは?と思います.まぁ好みかもしれませんが.
まとめ
ヨーロッパの人口動態に着目して,ヨーロッパの地域ごと,国ごとに長期投資として魅力がありそうかどうかみてみました.ヨーロッパ全体としては人口減少傾向であるものの,イギリスやフランスといった国々では緩やかですが長期的に人口が増加する見込みです.イギリスやフランスにETFで投資するのは少々ハードルが高いです.ヨーロッパに投資するなら,米国にADRで上場している企業(ユニリーバやディアジオなど)に投資するほうが,長期投資としては魅力的だと思います.
はぁ ディアジオ株欲しいなぁ
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