日本株含め世界的に株式市場は堅調に推移しています.今の株価は割高だとか,いや割安だとかいろんな意見が聞かれます.
私としては個別銘柄を買うときに安心できる(納得できる)水準で買いたいわけです.いくら長期的には成長する企業だろうと思っていても,自分が高いと思っているところで買って高値づかみになるのと,安いと思っているところでさらに下がるのでは違います.後者の方が自分としては安心できます.なぜなら,さらに安いところを買うことができる,と私は思えるからです1.
どちらにせよ,それらを判断する基準が必要です.
ということで,その銘柄が高いのか安いのかを大まかに判断するためのひとつの基準として米国株のセクター別平均PERを確認したいと思います.
米国株のセクター別PER
三菱UFJ国際投信の出しているレポートのなかに,米国のセクター別の平均PERがあったので,そちらを引用します.
このグラフは,1999年12月末から2017年3月まで(約17年間)のデータを元に,平均PERを出しているようです.グラフ中の青っぽい色が平均PERです.
これを眺めてみると,日本とは違うところがいくつか見つかりますね.
米国のセクター別の平均PERはだいたい15倍から20倍程度におさまっています.日本の場合は,銀行業だと12倍から13倍くらい,医薬品とか食料品だと23倍から24倍くらいです2.また,情報通信をみると,米国はPER18倍くらいですが,日本の場合は21倍くらいです.配当性向が高いこともあいまって,米国の電気通信セクターは高配当の銘柄が多いのだと思います.
もちろん,セクターに含まれている企業の種類が,米国と日本で同じ基準ではないので,厳密には比較できませんので参考程度です.
セクター別ETF
先程のグラフの平均PERを目分量で表にしました.また,対応するバンガードのETFと参考にブラックロックのETFも併記しています.
セクター名 | 平均PER(17年間) | バンガード | ブラックロック | ||
---|---|---|---|---|---|
ETF | PER (as of 2017/9/30) | ETF | PER (as of 2017/10/20) | ||
ヘルスケア | 17.5 | VHT | 23.4 | IXJ | 24.47 |
エネルギー | 21 | VDE | 36.1 | IXC | 36.13 |
素材 | 17.6 | VAW | 26.0 | MXI | 21.25 |
資本財 | 17 | VIS | 23.4 | EXI | 21.72 |
一般消費財 | 20 | VCR | 22.7 | RXI | 19.75 |
生活必需品 | 17.5 | VDC | 21.3 | KXI | 22.52 |
金融 | 14 | VFH | 16.1 | IXG | 15.81 |
情報技術 | 20.5 | VGT | 24.7 | IXN | 25.66 |
電気通信 | 18 | VOX | 19.5 | IXP | 15.33 |
公益事業 | 14.5 | VPU | 22.4 | JXI | 16.69 |
PER的には,米国のいずれのセクターも割高かなぁっていう印象ですが,ありえなく高いというわけでもないようです.エネルギーのPERが高いのは原油価格が微妙なレベルでまごついているからでしょう.現金比率が十分低いのに,無理して新たに買う場面ではないと思います.
ただ,このPERは実績値であるため,最近の良好な経済指標を加味した予想PERは低くなるかもしれません.私は石橋を叩いて渡る派なので,予想PERは頭の片隅においておく程度ですが.
まとめ
米国のセクター別の平均PERをみました.現状の各セクタは割高だとは思うけど,ありえなく高いというわけでもないと思います.現金比率が高い人はちょっと買ってみても良いかもしれないけど,現金比率が低い人が買い進む場面ではないと思います.
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