簡単にCVSヘルスの企業分析をしてみた

今回はCVSヘルス(CVS)をざっと企業分析してみました.

米国企業の企業分析は有名な米国株ブロガーさんたちによって色々されているので今更感はあるのですが,自分の備忘録として書き残しておきます.もしかしたら誰かの参考になるかもと淡い期待を込めて.

なお,CVSヘルスの事業などは主にAnnual Reportに基いています.

出典 Annual Report Archive | CVS Health

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事業内容

米国会社四季報によると,CVSヘルスは米国最大のドラッグストアとありますが,それだけではありません.

CVSヘルスの事業としては,ドラッグストアだけではなく薬剤給付管理(PBM; Pharmacy Benefits Management)や簡易クリニックのMinuteClinicなどヘルスケアに関わることを多岐に事業展開しています.いわば,ヘルスケアの総合企業ですね.

CVSヘルスは3つのセグメントからなります.

  • 薬局サービス(Pharmacy Services): PBM全般の事業です.例えば,処方管理,メディケアパートDサービス1,通販薬局,専門薬局,小売薬局ネットワーク管理,病気管理,医療費管理などなどです.
  • 小売/長期ケア(Retail/LTC): 医薬品や化粧品など,いわゆるドラッグストアで売っている物の小売事業です.その他に,処方薬や関連する薬剤コンサルティングや簡易クリニックなどが含まれます.
  • コーポレート(Corporate): 自社の管理に関するセグメントで直接的に収益に関係するセグメントではないようです.以降では無視します.

PBM事業のライバルは,Express Scripts(ESRX)やOptumRxです.これらとCVSヘルスを含めた3社でPBM業界のシェアの80%以上を占めています.ドラッグストア事業ではウォルグリーン(WBA)がライバル企業です.

CVSヘルスはM&Aを積極的に繰り返して成長しています.直近では医療保険のエトナを買収すると発表しています.

外部サイト 米CVSヘルス:医療保険のエトナを買収へ-7兆6000億円で | Bloomberg

業績/指標

次に業績状況をさくっと見ましょう.モーニングスターのデータ(10年間)を利用して使用してグラフ化しました.

CVSヘルスは12月決算で,2017年12月は予想値です.凡例をクリックするとそのデータの表示/非表示を切り替えることができます.

出典 CVS Health Corp | Morningstar

売上/営業利益/純利益/フリーキャッシュフロー

 

売上高は順調に増加していますね.ほれぼれします.積極的なM&Aの結果だと思います.

営業利益も順調に伸びている一方で,純利益は停滞気味です.ヘルスケアセクターは成長がまだまだ期待できるセクターなので,事業拡大して売上を伸ばしている段階だと思います.利益が大きくのびてくるのはもう少し先という気がします.

特筆すべき点としては,フリーキャッシュフローが順調に増加している点でしょう.良いビジネスであることがうかがえます.

また,米国株四季報によると,自己資本比率は40%程度なので,これも安全材料だと思います.

次にセグメント別に見てみましょう.

 

 

 

両セグメントともに増収増益ですね.売上高はPBM事業のウェイトが大きいですが,営業利益ではドラッグストア事業の方が大きいですね.

ただ,PBM事業の利益の増加率が大きいので,今後のPBM事業の利益の改善に期待しています(何も根拠はありませんが).

EPS/DPS

 

EPSおよびDPSも順調に増加しています.2008年から9年連続の増配です.

営業利益率/配当性向/ROE

 

営業利益率は減少傾向です.これは,売上優先で事業拡大している結果だと,好意的に解釈しています.いずれ利益率が改善していくのではと思います.もちろん,さらなる調査・分析が必要ですが.

配当性向については進行期で40%程度です.今後の利益成長を考えると,まだまだ増配できる余地があると思います.

事業上のリスク

さて事業上のリスクとして,素人ながらふと思いつくのは Amazon の脅威ですね.

現実にAmazonはヘルスケア業界に参入しようとしていますし,CVSヘルスにとって顕在化したリスクだと思います.そのせいかどうかわかりませんが,ここしばらく株価の推移はあまりよろしくありません.

ただ,医薬品や調剤にはいろいろと規制がありますし,普通の小売業とは違って参入障壁はそこそこあるんじゃないかと思います.いずれにせよ,Amazonが本格的に参入するにはまだまだ時間がかかると思われます.Amazonの動向に注視だと思います.

仮にAmazonがPBM事業などに本格参入するとなったら,ちっちゃなPBM企業を買収するんじゃないかなと思います.ホールフーズを買収したように,ちっちゃなPBMを買収する,みたいな.そうなると,Amazonに買収されそうな PBM 企業の株を買っておくと面白いかもしれませんね.

参考になりそうな記事のリンクをおいときます.

外部サイト Amazon Is About To Disrupt The Drug Industry, But Not The Way Most Think

どうするか?

ヘルスケア業界は成長産業ですし,CVSヘルス自体増収増益傾向です.CVSヘルスは積極的なM&Aで事業拡大していますし,好感がもてます.確かにAmazonという大きなリスクがあるとは思いますが,Amazonがどういう形で参入するかによると思います.

現在のところ,同業他社と比べてPERは14.7倍(2017/12/8現在)と十分に割安水準です.

ということで,ウォッチリストにいれてちょいちょい買っていこうかなと思います.

業績および取り巻く環境の変化も要監視ですね.

頭悪い人
頭悪い人

クソださい投資家なう

 

  1. メディケアパートDは,処方箋薬剤給付保険で,医師から処方された薬剤の費用を保証する保険です. 

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