好調な相場環境が続くと,暴落がくるんじゃないかと不安に思うのは私だけではないと思います.特に,暴落らしい暴落を経験したことのない,私のような新米投資家は過度に楽観的に考えたり悲観的に考えたりしてしまうのではないかと思います.
そこで,歴史に学ぼうということで,サブプライムショックとリーマンショック時の最大ドローダウンからどの銘柄が良かったのかを確認したいと思います.
コンテンツ
- 1 調査方法
- 2 S&P500の値動きを確認
- 3 結果
- 3.1 1位: Abbott Laboratories (ABT)
- 3.2 2位: General Mills (GIS)
- 3.3 3位: Southern Co. (SO)
- 3.4 4位: Church & Dwight (CHD)
- 3.5 5位: Procter & Gamble (PG)
- 3.6 6位: McDonald’s Corp. (MCD)
- 3.7 7位: Wal-Mart Stores (WMT)
- 3.8 8位: The Clorox Company (CLX)
- 3.9 9位: Johnson & Johnson (JNJ)
- 3.10 10位: Wec Energy Group Inc (WEC)
- 4 おわりに
調査方法
以下の条件で調査しました.
- 2007/1/1から2008/12/31までの株価を利用
- 2018/1/7現在のS&P500に含まれる銘柄を対象とし,調査期間に存在しなかった銘柄は除外.同様に調査期間にS&P500に含まれていたけど現在は除外されている銘柄も対象外.
- S&P500 の構成銘柄のリストを利用
- 外部サイト List of companies in the S&P 500 together with associated financials
なお,サブプライムショックやリーマンショックが引き金になったドローダウンとは限らないことに注意してください.
S&P500の値動きを確認
サブプライム・ショックは,S&P500に対してそれほど大きな影響を与えていません.2007年でみると上がった分が前戻しになる程度ですね.
一方で,2008年に入るとだらだらと下げ始め,リーマン・ショックを契機に滝のごとく下落しています.2008年末でもわずかしか値を戻していません.
結果
さて,そんなS&P500の値動きを踏まえて,個別株のドローダウンをみてみます.調査結果の上位10位までを表にまとめます.表には最大ドローダウンの他に2007年の初めから2008年終わりまでの累積リターンも載せています.表が途中で切れている場合は横にスクロールしてみてください.
Symbol | Name | Sector | Max Drawdown | Cumulative Return |
---|---|---|---|---|
ABT | Abbott Laboratories | Health Care | 16.72% | 14.05% |
GIS | General Mills | Consumer Staples | 16.75% | 9.66% |
SO | Southern Co. | Utilities | 18.33% | 8.13% |
CHD | Church & Dwight | Consumer Staples | 21.29% | 26.21% |
PG | Procter & Gamble | Consumer Staples | 21.35% | -1.02% |
MCD | McDonald's Corp. | Consumer Discretionary | 21.36% | 48.56% |
WMT | Wal-Mart Stores | Consumer Staples | 21.37% | 20.04% |
CLX | The Clorox Company | Consumer Staples | 22.33% | -9.30% |
JNJ | Johnson & Johnson | Health Care | 22.75% | -5.98% |
WEC | Wec Energy Group Inc | Utilities | 23.26% | -9.40% |
ヘルスケア,食品・日用品,公益といったディフェンシブな性格を持つ銘柄上位を占めています.
驚くのは,リーマンショックのような相場環境として最悪なとしでも,累積リターンがそこそこ利益が出ている銘柄があることです.
1位: Abbott Laboratories (ABT)
1位はアボット・ラボラトリーズ(ABT)で,最大ドローダウンは16.72%です.調査期間の株価は約2ドル幅のレンジでの推移でした.
ABTはヘルスケアの総合企業大手です.医薬品やら診断機器やらいろいろなものを作っています.何より配当貴族銘柄です.2013年にバイオ新薬部門は ABBV としてスピンアウトしていますね.
2位: General Mills (GIS)
2位は僅差でゼネラル・ミルズ(GIS)で,最大ドローダウンは16.75%です.リーマン・ショックで長い下ヒゲが出ていますが,短期的には回復しそこからだらだら下落しています.
GISは食品メーカーの大手で,シリアルやスナック,冷凍食品等を作っています.アイスのハーゲンダッツが有名ですね.
3位: Southern Co. (SO)
3位はサザン(SO)です.最大ドローダウンは18.33%です.対象期間では6ドル幅のレンジの推移ですね.リーマン・ショック時には,長い下ヒゲがでているものの,数ヶ月で半値まで戻っています.
SOは米国2位の電力・ガス供給会社です.高配当銘柄で,今のところ17年連続増配ですね. 2017年にいろいろ騒がせた東芝のウエスチングハウスに,SOは原発を発注しており,建設計画は現在も継続しているようです.
4位: Church & Dwight (CHD)
4位から7位までは僅差です.4位はチャーチアンドドワイト(CHD)で,最大ドローダウンは21.29%です.リーマン・ショック時こそ長い下ヒゲがでていますが,緩やかな上昇傾向のなかでの一時的な下げにみえますね.
CHDは,老舗の日用品メーカーです.重曹(ベーキングパウダー)のブランドのARM&HAMMERが有名のようです.日本でも売っているようですが,私は知りませんでした.積極的なM&Aで成長しているようです.
5位: Procter & Gamble (PG)
5位はP&G(PG)です.最大ドローダウンは21.35%ですね.株価は60ドルから75ドルの範囲のレンジで推移していて,上の銘柄と比べると,リーマン・ショック時の影響を受けている印象です.
PGは,みなさんご存知の世界最大の日用品メーカーですね.洗剤だとアリエール,消臭剤だとファブリーズ,化粧品ならSK-IIなどみなさんお馴染みのブランドばっかりですね.
6位: McDonald’s Corp. (MCD)
6位はマクドナルド(MCD)で,最大ドローダウンは21.36%です.MCDの株価推移をみるとリーマン・ショックなんて一時的な下げで,2007年の初めに投資していたら2008年末でもしっかり儲かっています.
MCDは皆さんご存知,ハンバーガーのファストフードチェーンですね.日本マクドナルドは株主優待が人気で評価されすぎの株価がついています.成長性を考えるとだんぜんMCDに投資したほうが良いでしょう.
7位: Wal-Mart Stores (WMT)
7位はウォルマート・ストアーズ(WMT)です.最大ドローダウンは21.37%です.MCDと同様に,2007年の初めに投資していたら,2008年末でも儲かっていた銘柄です.
WMTは世界最大の小売チェーンです.配当貴族銘柄でもあります.2017年はAmazonの躍進でWMTを食ってしまうのかと思われましたが,盛り返しています.Amazonの力をもってしてもWMTの牙城を崩すのはそう簡単ではなさそうです.
8位: The Clorox Company (CLX)
8位はクロロックス(CLX)で,最大ドローダウンは22.33%でした.最大ドローダウンは大きくないものの,緩やかな下落トレンド中にリーマン・ショックが起きており,2008年は安値付近で終わっています.
CLXは家庭用品(トイレタリー)の老舗で,そのブランドのほとんどが米国内の1位あるいは2位のシェアを誇っています.配当貴族銘柄でもあります.
9位: Johnson & Johnson (JNJ)
9位はジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)で,最大ドローダウンは22.75%です.60ドルが割れずに70ドルを超えて上昇しているときにリーマン・ショックが発生し,60ドルを大きく割って2008年末頃は60ドル付近まで戻しています.
JNJは皆さんご存知の総合ヘルスケア企業ですね.医療機器では世界の上位で医薬品は5位の企業です.配当貴族でもあります.
10位: Wec Energy Group Inc (WEC)
10位はWECエナジー・グループです.最大ドローダウンは23.26%です.WECは21ドルから25ドルの範囲のレンジで推移しているときに,リーマン・ショックが発生し,21ドルを割っていました.2008年末頃には半値付近まで株価は戻っていますね.
WECは,米国の中西部4州で展開する電力・ガス企業ですね.
おわりに
今回はサブプライム・ショックとリーマン・ショックが発生した2007年から2008年の間で最大ドローダウンが小さかった銘柄を調べてみました.ディフェンシブ株に分類される,ヘルスケア,食品や日用品,公益などのセクターの株のドローダウンが小さかったです.また,サブプライム・ショックは不動産セクターの問題で,今回の取り上げた銘柄はその影響が小さかったことは印象的です.
個人的には多くの銘柄がちゃんとチェックできていなかったので調査してみてよかったです.
ただし,今回の調査ではその当時の各銘柄のバリュエーションについては調査していません.つまり,その当時もともと評価が低くかった銘柄だったからドローダウンが小さかったのかもしれず,今同様な暴落が発生としたとして再びドローダウンが小さいとは限らないということです.もちろん,そうでない場合もありますが.
いずれにせよ,もう少しきちんとした調査をする必要があると思います.
いつかやります(´ー`)
逆に,リーマン・ショック時に弱かった銘柄については以下の記事でまとめています.
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