【2017年12月期】GMOインターネット(9449)の株主総会に出席してきたよ

2018/3/21(水)に開催されたGMOインターネットの株主総会に行ってきました.休日開催ということで好感がもてますね.

先日のGMOクラウドと同様に,弊ブログを運営するにあたってGMOのサービスを利用しており,お世話になっている企業の一つです.

過去記事 【株主総会】GMOクラウド(3788)の株主総会にいってきたよ

ということで今回は,株主総会の内容や感じたことについて,ちょっと長いですがつらつら書きたいと思います.

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GMOインターネット

GMOインターネットは,いろんな事業を展開しているコングロマリット型の企業です.

  • インターネットインフラ事業: ドメインレジストリ,ドメインレジストラ(お名前.com),クラウドホスティング(ロリポップ,ConoHaなど),EC支援(カラミーショップ),セキュリティ(GlobalSign),決済事業(GMO Payment Gateway)
  • インターネット金融事業: 株式取引,FX取引,仮想通貨取引(GMOコイン)
  • インターネット広告・メディア事業: アドテクノロジーによるネット広告サービスと自社メディア運営
  • モバイルエンターテイメント事業: スマートフォン・オンライン向けゲームの提供

2017年12月期では,売上比率の53.2%をインターネットインフラ事業が占め,27.7%をインターネット広告・メディア事業,17.0%をインターネット金融事業が占めています.わずか0.6%がモバイルエンターテインメント事業になります.

営業利益の観点では,インターネットインフラ事業が大きく増加している一方で,他の事業はヨコヨコか減少している状況です.なお,連結業績としては,2013年から連続増収増益を続けています.

今後の展望としては,インターネット金融事業に力をいれ,直近ではGMOあおぞらネット銀行(2018年7月開業予定)と仮想通貨事業を推し進めていくようです.

株主総会の雰囲気など

ざっとみたところ1000人程度の株主が株主総会に出席している印象でした.会場の受付もちょっとしたコンサートみたいな感じで,2列で手際よく議決権行使書を受け取って行くかたちでした.

参加された株主の年齢層としては,30代くらいの若い株主が比較的に多かった気がします.IT企業だからということでしょうか.

株主総会に参加のお土産として,GMOビットコインチョコレートと1000円相当のビットコイン(5/31正午JST時点)がもらえました.


今回は株主提案として,買収防衛策廃止,指名委員会設置会社への移行,取締役の報酬額設定などの提案がありました.提案したのはオアシスファンドの管理会社です.アクティビストの活動をこの目でみれたのは面白かったです.

株主総会の業績説明などは,事前に録音してあるナレーションとスライドによる説明でした.このやり方が通常のやり方のようですね.

質疑応答と感じたこと

株主総会の質疑の中で気になったことを中心に,感じたことを交えて書きます.メモと記憶に基いて書いているので,実際の内容・ニュアンスと異なる部分があるかもしれません.その点はご了承ください.

株主提案に関する部分に関しては,少なくとも後日Webに対比表として掲載するという話だったので,そちらも確認すると良いと思います.この記事執筆時点ではまだ掲載されていないようです.

ガバナンスについて

ガバナンスに関する質問としては,主に次のような感じでした.

  • GMOインターネットは熊谷社長のワンマン企業になっており,買収防衛策が少数株主の利益に反した運用をされる懸念がある.実際に,熊谷社長のインタビューなどによると,過去に買収額として500億を提示されたとき買収を拒否し,その後数年に渡って時価総額がその額を大きく割り込んだ状態のままだった.この買収自体,熊谷社長の一存で断ったように見え,少数株主の利益を毀損しているようにみえる.
  • 熊谷社長のプライベートカンパニーであった,ワイン会社やヘリコプター会社がGMOの傘下に入っている.これはGMOを私物化している証左ではないか?
  • 今期は営業利益が目標未達であるのに,取締役報酬が増額するのはおかしいのでは?

以下のページに,データを含めて詳細な話があったので,気になる方は参照してください.
参考 オアシスによるGMOインターネット株式会社の2017年12月期定時株主総会への株主提案について | PRTIMES

これらについては,オアシスファンドと敵対しているわけではないという前置きをしたうえで,こんな感じの回答がされました.

  • 買収防衛策について
    • すべての買収に反対しているわけではないが,グループを解体し個々の事業を売却を目的にするような買収については反対する
    • GMOグループは日本のインターネットを支えており,グループ内で連携して実現している.これらを解体するような買収は,顧客や株主にとって不利益を被ると考えている
  • ワンマン経営かどうか?
    • 熊谷社長がすべてをトップダウンで決めているわけではない
    • 仮想通貨事業などの重要な事業については大きく社長が関与しているが,他の事業は各取締役などに任せている
  • 取締役会の体制について
    • 指名委員会設置会社よりも優れた体制を築いていておりガバナンスの観点からも問題ないと考えており,具体的な仕組みは企業秘密
    • 取締役など幹部の報酬は,報酬委員会を幹部約140名の中から立候補で選出し,そのやり方をチェックをする委員も同様に先出する.この報酬委員会については社長は一切関与しない.
    • すべての業績に関する事柄をポイント制として,そのポイントに応じて報酬が決まるシステム.社長に忖度するインセンティブが働くような仕組みになっていない
    • 営業利益が目標未達なのは,その通りで申し訳なく思う.しかし,株主の利益である,最終利益は目標に達成しているので,報酬を減額するのは道理にかなわない
  • ワイン会社やヘリコプター会社について
    • ワインとか航空機が社長の趣味.その関係で,プライベートカンパニーとしてやっていた
    • ワインは,毎週金曜日の夜に無料で社員に提供していたり,接待などに利用していたりする
    • 酒類を定価で買うより卸値程度で安価に入手できるため,プライベートカンパニーであったワイン会社から仕入れていた
    • 監査法人から,そのようなかたちで購入をするなら,グループ子会社とするよう指摘された.その結果,プライベートカンパニーからグループ子会社になった.
    • 航空機会社に関しても,時間をお金を買うことによって,移動時間内にミーティングができるなど有効に時間が使えるようになる.そのようなメリットがあるため,ワイン会社と同様にグループ子会社になった.
    • 取引自体はなんら問題なく,公明正大に開示を行っている

個人的な感想としては,買収防衛策に関する反論についてはちょっと弱いかなぁっと思いました.グループが解体され売り飛ばされるような買収から守るために買収防衛策が必要だという主張だったと思いますが,それならば取締役会だけで買収防衛策を発動できるようにせずに,株主に諮るシステムにしたらいいのにと思いました.取締役会だけで決断できるような仕組みである必要性についてはちゃんと説明されていなかった気がします.

その他の事項に関しては,ある一定の納得度はあったと思います.

仮想通貨事業の今後について

仮想通貨事業の今後に関する質問がいくつかありました.

回答の主旨としてはこんな感じでした.

  • 仮想通貨のコミュニティに参画して,業界全体を発展させていきたい
  • 仮想通貨は金(ゴールド)なのか通貨なのかはわからないが,金だというのは確実だと考えている.
  • 仮想通貨は金だと考えているため,マイニング(採掘)とエクスチェンジ(交換)の2つに注力する
  • マイニングでは,他社から機器を購入するのではなく,自社で半導体を製造し,他社との差別化を行っている

個人的には,仮想通貨は金としてみなせるかというと懐疑的にみていますし,マイニング事業についても持続可能な事業かどうかも疑問です.これらについては,仮想通貨の勉強が不十分な上,まだ考えを整理できていないので,整理できたら別記事で書きたいと思います.

一方で私は,ブロックチェーン技術には注目しており,使い方次第で面白いことかつ利益になりそうなことができそうな気がしています.そういう意味で,「Z.com Cloud ブロックチェーン」や「ConoHaブロックチェーン」には期待しています.

モバイルエンターテイメント事業の今後について

モバイルエンターテイメント事業はずっと業績が悪いが今後どうするのかという内容の質問がありました.

これに対しては,次のような感じの回答だったと思います.

  • 業績が悪いのは心苦しく感じており,申し訳なく思っている
  • モバイルエンターテイメント事業の子会社を整理し,事業として縮小した上でGMOインターネットに吸収した
  • この事業は1発当たったら逆転できるような事業であると考えており,その芽も出てくる兆しがある

GMOクリック証券に熊谷社長が取締役として入っていない理由は?

GMOグループの関連会社には熊谷社長が取締役として入っているが,GMOクリック証券には取締役に入っていないのはなぜか,という主旨の質問がありました.

これに対しては,金融事業に関しては規制が強く,何かあると長い時間拘束される懸念があり,他の事業の機動的な展開の足かせになる可能性があるので入っていない,という回答でした.

クーポンサイト「くまポン」の今後の見通しについて

クーポン業界は昔の活況がなくなってきており,くまポンも縮小していくのではないのか,というような質問がありました.

これに対しては次のような回答でした.

  • クーポン業界全体が縮小してきているのはその通り
  • しかし,割引といったビジネスは歴史的になくならないビジネスモデルで,クーポンも同じ
  • 残存者利益があるビジネスであり,くまポンのリピーターも多いので,引き続きくまポン事業は続けていきたい

自己資本比率が低い理由について

自己資本比率が6%ちょっとで不安がある.自己資本比率が低いのはなぜか,という主旨の質問がありました.

これに対しては次のような回答でした.

  • 自己資本比率が高い方が良いのはそのとおり
  • しかし,金融事業をやっている関係で,負債に計上されるものがあるため,結果として自己資本比率が低くなる
  • 金融事業を除いた自己資本比率についてはIRに問い合わせもられたら回答できる

おわりに

今回は,GMOインターネットの株主総会に参加してきました.今回を含め,4社の株主総会に参加しましたが,一番規模が大きかったです.質問は活発で,幾つかの質問は時間切れになりました.

全体として,熊谷社長の声が思いの外良かったのと概ねプレゼンに信頼感があったので好印象でした.また,株主総会の最後に,感極まって熊谷社長は涙ぐんでいましたことが印象に残りました.

現在の株価水準としては,ほぼほぼ適正水準だと思います.今回の調整局面で大きく下がったら,買ってみても面白いかもしれません.

コメント

  1. […] 引用元:hassのまったり投資譚 […]

  2. […] 熊谷正寿@m_kumagai 3月25日 お足元の悪い中株主総会へお越し頂きありがとうございました。拝見しましたがあまりに細かい記録驚きました!  |@hass0finvestor  |【ブログ更新】ちょっと前ですが,  |休日開催だったのでいってきました(´ー`)  |【株主総会】GMOインターネット(9449)の株主総会に出席してきたよ …  |https://hass104.blog/shareholder-meeting-gmo-180321/ […]